就労関係の在留資格が不許可になりうるケース

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【高度専門職】・【経営・管理】・【教育】【教授】・【技能実習1号】編

前回の【技術・人文知識・国際業務】・【企業内転勤】編に続き、企業が外国人を採用する際、在留資格が不許可になると考えられるケースを紹介します。

◆【高度専門職1号】または【高度専門職2号】の場合
θ. 日本におけるI社での勤務で、3年間の「特定活動〈高度人材〉」(「高度専門職」の前身)を有し、その後はJ社に転職したが、在留資格に関する手続きを何もしなかった。在留期限が切れる前に、2015年4月1日から実施された入管法改正の法令を基に在留資格を「高度専門職1号」へ変更申請した結果、それまでの活動内容は入管に認められた活動ではないことを理由に不許可となったケース。

アドバイス:「特定活動〈高度人材〉」もしくは「高度専門職1号」には『指定書』というものがパスポートにホチキスで留められる。その『指定書』には勤務先が明確に記載されているので、〈高度人材〉として働きたいのであれば、転職する度に「特定活動〈高度人材〉」から「高度専門職1号」または「高度専門職1号」から「高度専門職1号」へ変更申請しなければならない。同じ在留資格なのに変更する必要があるのかと思われるかもしれないが、仮に企業が中途採用する外国人が「高度専門職1号」を有していても、必ず変更申請をさせ、自社名が『指定書』に記載されたかを確認する、もしくは他の普通の就労資格へ変更申請させましょう。

ι. 日本におけるK社での勤務で、1年間の「高度専門職1号ロ」を有し、その後はL社に転職したが、在留資格に関する手続きを何もしなかった。在留期限が切れる前に更新申請した結果、「高度専門職」の要件である70ポイントを満たしていないことを理由に不許可となったケース。

アドバイス: 前職では「高度専門職」に必要な70ポイントを満たしていても、転職後の職務内容や年収などの変動により満たさない場合があるので、どう見分けるかよく分からないときには、専門家に相談したうえでの申請をおすすめします。

◆【経営・管理】の場合
κ. 自身により日本でM社の設立および経営で「経営・管理」を有し、その後、M社を廃業し、N社に就職したが、在留資格に関する手続きを何もしなかった。在留期限が切れる前に更新申請した結果、N社での活動内容は経営または管理ではないことを理由に不許可となったケース。

アドバイス: 「経営・管理」という名前はランクが一番高そうなイメージがあり、その在留資格を有すれば、企業がどんな職務内容で雇用しても、その外国人は就労に問題ないと勘違いしてしまう場合があるが、実際その外国人が経営陣の一員もしくは部長などの管理職でない以上、入社する際に要件を満たす他の該当する就労資格へ変更申請させましょう。

λ. 自身により日本でO社の設立および経営で1年間の「経営・管理」を有し、その後、P社に就職し、在留資格を「技術・人文知識・国際業務」へ変更申請した結果、この1年間は会社を経営しておらず、日本での安定性がないことを理由に不許可となったケース。

アドバイス: 日本で会社は設立したが、実際は在留資格の取得後から何もしなかった外国人をときどき見かける。その場合、次回の申請に不許可になる恐れが高いので、採用する前によく確認することをおすすめします。

◆【教育】【教授】の場合
μ. 高等学校Qにて英語の教師としての勤務で、「教育」を有し、その後、英会話専門の塾Rに転職し、英語の講師として働いていたが、在留資格を更新申請した結果、現職の活動内容は入管に認められた活動ではないことを理由に不許可となったケース。

アドバイス: 〈教師〉と〈講師〉は入管上、先生としての勤務先が小中高等学校(大学の先生の場合の在留資格は「教授」となる)であるかないかで区別されているので、塾などが「教育」または「教授」を有する外国人を講師として雇用する際、「技術・人文知識・国際業務」へ変更申請させましょう。

◆【技能実習1号】の場合
ν. 日本におけるS社が海外にある子会社S社から技能実習生を受け入れるために「技能実習1号イ」の在留資格認定証明書を申請した結果、以前に同社の同様な実習計画で技能実習生が来日したことがあるが、実際入管に提出した計画より数ヵ月も早く実習を終え、計画は実施されなかったため、今回の同じ実習計画は認められないことを理由に不許可となったケース。

アドバイス: 「技能実習」の在留資格は厳しいものであり、必ず予定通りの実習計画を実施しないと、信憑性が疑われ、仮に特別な事情で計画をやむを得ず変更しなければならない場合は、入管に申告することが重要であり、そうしなければ、今後新たに実習生を受け入れる際に支障が出かねない。

 今後は実務で新たな事例がありましたら、また掲載していきたいと思います。


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ACROSEEDグループプロフィール
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