在留審査厳格化の傾向

在留資格_審査厳格化の傾向

 前回は、2019年4月1日に出入国在留管理庁が新設され、各(前)入国管理局の直上級行政庁となった点に関して取り上げました。出入国在留管理庁の新設後4ヶ月が経った今、在留審査においては審査厳格化の傾向が見られており、今回は在留資格“技術・人文知識・国際業務”を取り上げ、その内容について以下ご紹介いたします。

 “技術・人文知識・国際業務”は、日本で就労するために取得する在留資格としてはとてもポピュラーな在留資格であり、申請人は、原則、下記①学歴要件、又は②実務経験要件のいずれかを満たすことが求められます。今回は、下記要件aを基準に申請を行うケースに関して取り上げます。(その他申請要件等に関しては今回省略します)

① 学歴要件(a又はbいずれかに適合することを要する)
a 従事しようとする業務に必要な技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し,
又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
b 従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の
専門課程を修了したこと
② 実務経験要件
従事しようとする業務の関連分野において、10年以上の実務経験を有すること

 入管審査要領によると、「大学を卒業した者については,大学が,学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専門の学芸を教授研究し,知的,道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とし,また,その目的を実現するための教育研究を行い,その成果を広く社会に提供することにより,社会の発展に寄与するとされていることを踏まえると(学校教育法第83条第1項,第2項),大学における専攻科目と従事しようとする業務の関連性については,比較的緩やかに判断されることとなる」とされています。
 実際にこれまでのケースでも、必ずしも専攻と従事する業務の分野が一致していないと思われる場合でも許可が下りたケースが多数あります。しかしながら、最近の申請では、この点に関して以前よりも厳しく判断される傾向があり、実際に当行政書士法人で扱った申請においても、大学の専攻と従事する業務内容に関連性が見られないという理由から不許可となる事例が出ています。また、不許可とならないまでも審査にこれまでよりも長く時間を要しているケースも多数あり、こちらは契約機関となる企業のカテゴリーを問わず見られる傾向です。

 上記を踏まえ、新たに人材を採用し在留資格の申請を行う際には、常に最近の審査の動向を踏まえて申請、ひいては採用活動を行うと良いかもしれません。せっかく海外から優秀な人材を確保できたとしても在留資格の交付を受けられなければ実際にその方を従業員として迎えいれることはできません。当行政書士法人でも今後の動向を注視していきます。


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ACROSEEDグループプロフィール
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