こんどは社会保険 算定基礎届の時期ですよ !

2005.05.07 ,

すでに 6 月に突入し、まもなく今年も半分が過ぎようとしております。ついこの前にゴールデンウィークだったと思ったら、すでに梅雨はすぐ目の前、世の中の変化がいくら早くなったといっても月日が過ぎるのが年々早く感じる今日この頃です。

やっと労働保険料の年度更新が終了し、ほっと一息と思いたいところですが、来月初旬には「算定基礎届」の提出がやってきます。

そこで、今回は来月初旬に迫っております社会保険の算定基礎届についてのご質問にお答えしたいと思います。

【質問1】

そもそも、算定基礎届を提出するのはなぜでしょうか ?

【回答】

社会保険の保険料、給付額や年金額を計算する上で使用するものに標準報酬というものがあり、この標準報酬を決定するに当たり、下記のとおり 3 つの決定方法があります。

【資格取得時決定】(取得届によるもの)資格取得時にこれから受ける予定の報酬をもとに標準報酬を決定

【随時改定】(月額変更届によるもの)固定的給与の変動や賃金体系の変更に伴い、変更後 3 ヶ月間の平均額相当の標準報酬が前のものより 2 等級以上変動があった場合にその平均額をもとに標準報酬を決定

【定時決定】(算定基礎届によるもの)毎年 7 月 1 日在籍の全員について、 4、5、6 月に支払われた報酬をもとにその年の 9 月以降の標準報酬を決定

7 月に提出する「算定基礎届」は、上記 3 つのうち【定時決定】に該当します。これは被保険者が実際受ける報酬と、取得時決定などで決定した標準報酬とかけ離れないように毎年 1 回、原則として 7 月 1 日に被保険者である者すべてを対象に4,5,6 月の報酬をもとに届出を行い、9 月以降 1 年間の標準報酬を決定するための手続きです。

【質問 2 】標準報酬の計算するときには通勤手当も算入すべき報酬となるのでしょうか。また、注意すべき点もあわせてお教えください。

【回答】

通勤手当はある一定額まで所得税法上非課税とされておりますが、社会保険では通勤手当も報酬とみなし、全額を報酬として計算に含めることになります。

通勤手当を 6 か月分の定期として現物支給する場合などは、その定期代を 6 で割り、1ヶ月あたりの通勤手当を計算し、その金額を報酬として含め計算します。

また、所得税は健康保険料、厚生年金保険料や雇用保険料などを控除した後の金額をもとに計算しますが、標準報酬の計算にあたっては、控除する前の「総支給額」をもとに計算します。

固定的給与だけではなくその期間に支払われた残業代などの非固定的給与も含め計算します。

【質問 3 】 4,5,6月中に過去の昇給差額分を支払われた場合はどうなりますか ?  【回答】

その3ヶ月間に過去の昇給分、たとえば3月より昇給し、その3月昇給した差額分が6月に支払われた場合などは、4,5,6 月以前分の昇給差額分を6月に支払われた報酬より控除して、9月から受けることが見込まれる金額により算定することになります。

【質問 4 】 4,5,6月に病気欠勤などでまったく報酬を受けていない場合はどうなりますか ?

【回答】

算定基礎届では4,5,6 月の報酬の支払基礎日数(報酬の基礎となった日数)が各月 20日以上あることが必要とされております。したがって支払基礎日数が 20 日未満の月がある場合はその月の報酬をのぞいて計算します。

たとえば、 5 月に病気欠勤で 15 日欠勤した場合などは、支払基礎日数が 19 ないし 18日となり、 20 日に達しませんので 5 月の報酬は算入せず、4,6月の報酬をもとに平均を出して、標準報酬を決定します。

また、ご質問のとおり、その 3 ヶ月に 1 ヶ月も支払基礎日数が 20 日をこえる月がまったくない場合は、従前の標準報酬をそのまま新しい標準報酬と読み替えて決定します。

ちなみにこの支払基礎日数ですが、下記のとおり考えます。

月給者・・・ 支払基礎日数 = 暦日であり、欠勤控除があった場合は暦日-欠勤日として計算します。日給者・・・ 支払基礎日数 = 出勤日数となります。

【質問 5 】

算定基礎届の提出を必要としない人とはどういう人でしょうか。

【回答】

原則 7 月 1 日に被保険者である人がすべて対象となりますが、

一.6 月 1 日以降に資格取得した人二.7,8,9 月のいずれかの月に「月額変更届」を提出する人三、6 月 30 日以前に退職した人

上記の 3 つに該当する場合は算定基礎届の提出の必要はありません。ただし、7,8,9月に「月額変更届」を提出の予定の被保険者が、その後欠勤などが多いなどの理由で「月額変更届」の提出要件に合致せず、結果として提出できなかった場合などは、その時点でその被保険者分の「算定基礎届」を提出することになります。

かつては、 1 ヶ月遅れの 8 月の真夏に提出時期があり、汗をかきながら社会保険事務所などに届出に行ったものですが、 7 月の初旬といえば梅雨の真っ最中、雨でじっとりしたなかで届出に行くもの憂鬱ですね。この届出が終わるころには梅雨も明け、本格的な夏がやってきます。すっきりと夏を迎えるためにも早めの準備が必要ですね。
 

宮嶋 邦彦プロフィール
社会保険労務士の仕事を通して受ける人事労務関係の相談の中から、旬な話題やお役立ち情報を掲載。 人事・労務関係の旬な話題や、法律、規則などの改正など新しい情報やお役立ち情報をお届けします。