【独自調査】IT系外国籍人材の国内ニーズ、コロナ以降に急増した地域・出身国は? ~英語・日本語レベルによって市場動向も変化あり~

Full concentration at work. Group of young business people working and communicating while sitting at the office desk together with colleagues sitting in the background
2021.07.29

Daijob.com登録者に独自調査

 「Daijob.com」は、サイトの登録者に「IT系外国籍人材の国内ニーズ」について独自調査を行いました。

コロナ以降の転職意識についてのポイント

【はじめに】
 日本国内の少子高齢化にともなう労働力不足や、企業の東京一極集中が経済活動を行う上で問題とされる中、2014年から日本政府による地方活性化のための政策「地方創生」の推進が始まりました。2019年4月には出入国管理及び難民認定法が改正され、日本における外国籍人材の受け入れが拡大しており、地方創生のためにもニーズが高まっていましたが、その真っ只中に新型コロナウイルス禍となってしまいました。渡航制限の影響で、現在もなお海外からの外国籍人材の採用を見送らざるを得ない企業も多い状況ですが、人材の約7割が日本在住であるDaijob.com登録者の中から、特に動きの大きかった「IT人材」に絞って、日本国内の人材ニーズを調査しました。

【本調査の概要】
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【期間】①コロナ以前:2019年1月~2020年3月
    ②コロナ以降:2020年4月~2021年6月
【対象】Daijob.comに掲載している企業からスカウトを受けた外国籍の日本在住者で、最終経験職種が
    「IT関連」(オープン・WEB系、インフラ系、汎用系、組込み/制御系、その他)の求職者
【人数】①コロナ以前:2,571人
    ②コロナ以降:3,165人
※調査項目により未登録の情報もあるため、集計結果は必ずしもこの人数と合致していないことをご了承ください。
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■調査結果
 1.「IT関連」職種は、首都圏以外の多くの地域で企業からのスカウト数が増加中

1.「IT関連」職種は、首都圏以外の多くの地域で企業からのスカウト数が増加中

 企業からのスカウトを受けた総数を基準に見ると、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪のような大都市での、人材ニーズがやはり多くなっています。ただし、増加率を基準に見てみると、スカウトを受けた人材の総数が100人以下だった地域で、コロナ以降は特に増加率が上がっている傾向が見られました。

 2.IT教育が盛んなミャンマー国籍者のニーズが急増

2.IT教育が盛んなミャンマー国籍者のニーズが急増

 国籍別では、フィリピン、ベトナム、ネパール、ミャンマー、スリランカ、タイ国籍の人材で増加率が高くなっています。これらの国々は、特に2000年代後半から日系企業のオフショア開発先として人気が高く、IT教育にも熱心な国々です。また、増加率が突出していたミャンマーは、「現役IT技術者数に対するIT分野卒業者数の割合」において92カ国中1位を獲得しており※2、現役IT技術者の約2.5倍ものIT卒業者が年間で排出されています。さらに、日本語学習の人気も高いことから※3、IT技術と日本語力の両面においてスキルの高い人材が増えているため、企業からのスカウト受信者が急増したと推測できます。

 3.年代別、年収別の企業スカウト受信者数は大差なし

3.年代別、年収別の企業スカウト受信者数は大差なし

 年代別の企業スカウト受信者数は、どの世代でも1.5倍以上の増加となりました。年収別に見ても、全体的に1.4倍以上となっており、特に大きな差がある年収層はありませんでした。

 4.語学力別では、日本語「日常会話レベル」の増加率が最多

4.語学力別では、日本語「日常会話レベル」の増加率が最多

 語学力別では、日本語「日常会話」レベルが2倍に増えており、最も増加率が上がりました。コロナ以前は、「日常会話」「ビジネス会話」「流暢」レベルの数に大きな差はありませんでしたが、コロナ以降は「日常会話」レベルのニーズが高まったようです。英語レベルにおいても総数は少ないですが、やはり「日常会話」レベルが1.9倍と、英語レベルの中でも最も増加率が高い結果となりました。

■調査結果を受けて
 ヒューマングローバルタレント株式会社 代表取締役 / 一般社団法人外国人雇用協議会 理事 横川 友樹
横川友樹
 日本国内の労働力人口不足が社会課題となっている中、外国籍・女性・シニアの活躍や、働き手・働き方の多様化が期待されております。特に外国籍雇用においては、2020年に約172万人と前3年比で約45万人も雇用数が伸びており※4、今回の調査結果にもあるように、大都市以外の地域でも雇用が進んでいる状況です。さらに2019年に新設された在留資格「特定技能」以降は、外国籍人材の受け入れを2024年までに最大34万5千人に伸ばす見込みで運用されているため、アフターコロナにおいても今後ますます外国籍の採用は増加していくと予想されます。
 その他、対日直接投資を増加させるべく、外資系の誘致・外国籍幹部の雇用、特に地方国内企業との連携により、優秀な外国籍人材を日本に招き入れ、海外からの投資を増加させる計画も、経済産業省から発表されました。現在、外国籍雇用市場は、これまで多かった労働力不足を補うための外国籍採用から、さらに経営層や高いスキルを持った高度人材の採用へと変化を見せつつあります。市場の変化や求職者のニーズを捉えながら、当社も事業に取り組んで参りたいと考えております。

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※2. 出展:2020年7月発表ヒューマンリソシア[世界の大学等におけるIT教育について独自調査]
https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey-career/)
※3.ミャンマーは2019年第2回(12月)日本語能力試験において、海外受験応募者数の前年比増加率が78%あり、増加率は突出して1位。出展:日本語能力試験公式ウェブサイト(https://www.jlpt.jp/

2019年第2回(12月)日本語能力試験 概要

※4.出展:厚生労働省「外国人雇用の状況について」(https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000744991.pdf)

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