ストレスには免疫が必要なのです!

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ストレスには免疫が必要です

企業とのコラボで筆者が行っている世界ビデオインタビュー。このコラムでは、「多文化人材の活かし方」について世界4極の現地人リーダーに登場してもらい、世界各地での効果的なリーダーシップのヒントに迫っています。

毎回、アセアン圏のマネージャー達と話していると、素朴で声量の低い声ながら、発せられるメッセージはワールドクラスのものばかりであることに驚かされます。そこのグローバルマネジメントを目指す私たちは見落としていけません。赴任者の方は日本本土のスピード感で仕事をしていますから、なかなか、そのか細い声に包まれているBurning Message(私の造語)を聞き逃しているものです。

さて米国、中国、英国に続いて今回は、タイへ飛びます。まず聞いて下さい。見事な卓見ではありませんか?

“We need immunity to stress. So we need your counseling.” 
「ストレスには免疫が必要です。そのためにカウンセリングが必須なのです。」

(タイ・総合商社・人事副部長)

社員が何か悪いことをしたら、即効性のある “叱る” などの “注射” が有効です。でもスタッフの葛藤状況へのストレス耐性を高めるには、日頃から “免疫” が必要なのです。それがカウンセリングだという考え方です。 よくわかりますね。

職場の労務問題には問題が起きないようにするための “予防・preventive” な意識だけでなく、”メンテナンス・maintenance” の意識が必要です。それにはカウンセリングを行うことが不可欠です。多文化組織の社員はリーダーのカウンセリングを必要としているのです。

「グッドボスにはリーダーシップが必要です。リーダーは、人間心理・human psychologyを理解することのできる、良い精神の持ち主でなければなりません。」

上司のムード(気分)はチームの士気に最大のインパクトを与えているものです。その意味でリーダーは「演技」が必要なのです。上司が感情をそのまま直情的にdumpぶちまけていてはチームは崩壊します。しかし、赴任者の中には “気分・mood” をコントロールするスキルがまだまだ不足している人もいる、と言って、さらに「ヒーロー」について語り始めました。

「タイ人は上司に “ヒーロー” を期待します。普通の社員とは一線を画した “良いお手本・role model” であって欲しいのです。上司が悪いことをすれば、部下もそれを真似するんです。」

ここはアジア的ですね。上司にヒーローを期待するのはタイ人ばかりではありません。インドでも全く同じ文脈で、上司は実力者であると同時に、心のケアのできるボスでないと、マネージャー(管理者)にはなれても、グッドボスにはなれないと現地幹部は言っています。

ところで、先日、上の言葉を引用した上で、異文化間の人間関係のビデオを海外赴任前研修で見せたのですが、ある受講者が、「我々はここまで善人にならなければいけないんですか? ムカッときたら声を上げたっていいんじゃないですか?」と大きな声でコメントしました。

やりとりは省きますが、私自身がマレーシアの長老から諭された「カッときたりどうアドバイスしていいかわからない時は、相手を自分の兄弟だと思いなさい」というアドバイスを含めて受講者に返しました。部下に反論してはいけないとか、常に上司は仏でなくてはだめだ、という意味ではありません。この企業は現地発のコンサルティング型ビジネスへ大きく舵をとった企業だったので、現地社員との接し方の基本姿勢を考えて欲しかったのです。

アセアンの特徴として、上司に信頼の貯金が溜まっていて、仕事の目的が腑に落ちなければ面従腹背で結局業務が回りません。アセアンでは人間関係は潤滑油ではなく業務回しの必須行動です。 意思疎通の障害のある海外だからこそ、マネジメントの基本をきちんと実行できているかどうかが、成果を出せるかどうかの分かれ目になるのです。日本での蓄えの深さが海外で試されます。その基本が、インタビューで彼女が訴えている「人の気持ち」を確認し合う作業ではないでしょうか。
最後にもうひとつ。ある自動車部品大手のマレーシアの日本人人事担当者はこう言っていました。「うちの赴任者はスーパーマンでなくてはいけないのです」と。さて、読者の判断は如何に?


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■筆者の新コラムのお知らせ

2018年9月から産経新聞本誌・朝刊の、隔週水曜日・文化欄にて、コラム筆者の河谷隆司氏の連載が始まっています。河谷さんの声をお聞きください。

「“ネイティブ英語”を最終ゴールにしている限り、日本人は一生2級話者。インドには独特のインド英語、フィリピンには異文化の香り高いフィリピンのイングリッシュがあるように、日本には日本英語があって当たり前なのです。
国際人とは、海外でも尊敬を集められる人のことです。他人にはない自分独自のメッセージがあるからこそ、人は相手に関心を持ち、尊敬されるのです。
欧米人の話す英語に一生劣等感を感じる生き方は辞めましょう。それには「ネイティブ英語」信仰を捨て去り、海外でも尊敬を得られる「日本英語」を話すことです。自分のバーニング・メッセージを研ぎ澄まし、ロジックとパッションを打ち込んで放つ自分英語の勧めでもあるのです。」

*河谷隆司の侍イングリッシュ
産経ニュース:https://www.sankei.com/life/news/180905/lif1809050014-n1.html

河谷隆司プロフィール
株式会社 ダイバーシティ・マネジメント研究所 代表取締役 世界各地の日系と外資系企業、政府機関、経営大学院で異文化マネジメント、日本型ビジネス文化、グローバルビジネススキルを指導。マレーシア戦略国際問題研究所を含めアジア勤務17年。外資系日本支社長へのコーチング、外資系企業の日本企業買収前後の文化統合コンサルティングにも携わる。メインドメインは「アジア太平洋×異文化マネジメント×日本精神」の三位一体。日本文化を発信するネットテレビJapan Spiritキャスター(YouTube視聴可)。著書は『Winning Together at Japanese Companies』『アジア発 異文化マネジメントガイド』他多数。