~ポスト・コロナを見据え、テレワーク浸透後に求められるスキルは?~
◆はじめに
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、テレワークを導入・検討する企業が急増しています。導入を進めるなかで、テレワークのメリットやデメリットが各種調査で明らかになりつつあります。こうした背景とポスト・コロナのテレワーク普及を踏まえて、テレワークにおける生産性と重要なスキルについて、日本人と外国人に当社はアンケートを実施しました。
◆調査概要
調査期間: 2020年4月10日(金)~2020年4月14日(火)
調査対象条件: Daijob.comに登録しているビジネスパーソン会員
有効回答数: 497名
⎿ 日本人241人 (20代:14人, 30代:46人, 40代:81人, 50代以上:100人)
⎿ 外国人256人 (20代:75人, 30代:96人, 40代:54人, 50代以上:30人, 無回答:1人)
調査方法: 「Daijob.com」を通じたインターネット調査
調査主体: ヒューマングローバルタレント株式会社
※端数処理の関係で、各グラフの内訳の合計が100%にならない場合があります。
◆調査結果
■「テレワークの経験あり」は、6割以上
Daijob.comの登録者に「テレワーク経験の有無」を質問したところ、日本人の74%、外国人の68%はテレワークの「経験がある」と回答しました。
●図1 テレワークの経験の有無について
■テレワークで生産性は下がらず、日本人、外国人ともに約7割
「テレワークの生産性」について質問したところ、日本人の45%が「上がった」、29%が「変わらなかった」と回答しました。外国人については48%が「上がった」、19%が「変わらなかった」と回答しました。日本人の74%、外国人の67%といずれも約7割の人が「生産性は下がらなかった」と感じているようです。
●図2 オフィス勤務と比べた生産性
■生産性が上がった理由1位は、日本人・外国人とも「通勤のストレスがなくなる」
「生産性が上がった理由」(複数回答可)について日本人に質問したところ、回答の多い順に「通勤のストレスがなくなるため」(87%)、「自分のペースで仕事ができるため」(83%)、「自分で働く環境を整えられるため」(52%)となりました。
一方外国人にも同じ質問をすると、回答の多い順に「通勤のストレスがなくなるため」(74%)、「社外への訪問移動時間がなくなるため」(71%)、「自分のペースで仕事できるため」(63%)となりました。
日本人と外国人を比較すると、日本人は自分のペースで仕事ができることを生産性向上の理由として認識していることがうかがえます。一方、外国人は日本人と比べて会社や社外への移動時間がなくなることを挙げていることが分かりました。
また、その他の自由記述では以下のような回答がありました。
・1人で集中できるため(シンガポール)
・早朝や夜中に海外とのWEB会議が入った際、仕事のスタートを遅くするなど調整がしやすいため(日本)
・かかってくる電話が格段に減るため(日本)
●図3 生産性が上がった理由について (※複数回答可)
■生産性が下がった理由、日本人は「社内コミュニケーション減」、外国人は「通信環境」
「生産性が下がった理由」(複数回答可)について日本人に質問すると、最も大きな理由として「直接の社内コミュニケーションがなくなる」(57%)ことが挙げられました。
一方外国人にも同じ質問をすると、日本人ではその他を除き最も少なかった「オフィスと比べて通信環境に問題があるため」(51%)が最も多い回答となりました。
日本人と外国人を比較すると、日本人は外国人と比べ「直接の社内コミュニケーションがなくなる」ことを生産性低下の理由として認識している一方、外国人は日本人と比べて通信環境の問題を重視していることがうかがえます。
また、その他の自由記述では以下のような回答がありました。
・仕事のスペースが狭いため(インドネシア)
・資料を印刷できないため(日本)
・公私のメリハリがつかないため(日本)
●図4 生産性が下がった理由について (※複数回答可)
■テレワークでさらに大事だと思うものは、日本人・外国人ともに「自己管理能力」に
「オフィス勤務と比べ、テレワークでさらに大事だと思うもの」(複数回答可)について日本人に質問すると、回答が多い順に「自己管理能力」(82%)、「コミュニケーションスキル」(55%)、「生産性の高さ」(37%)となりました。
一方外国人にも同じ質問をすると、回答の多い順に「自己管理能力」(84%)、「コミュニケーションスキル」(56%)、「成果へのこだわり」(55%)となりました。
日本人と外国人の差がある回答を見てみると、「社内評価者への自己PR方法」については日本人の方が重要だと考え、「生産性の高さ」や「成果へのこだわり」は外国人の方が重要だと考えていることがうかがえます。
また、その他の自由記述では以下のような回答がありました。
・インターネットやその他のインフラ(インド)
・同僚の信頼(シンガポール)
・チームマネジメント(日本)
●図5 テレワークが導入された際、オフィス勤務と比べてさらに大事になると思うもの ※複数回答可
■テレワーク経験者である日本人と外国人の6割以上は、「勤務先にテレワークが浸透する」と回答
テレワーク経験がある日本人と外国人に対し、今後さらに「勤務先にテレワークが浸透する」と思うか質問したところ、6割以上の回答者が「浸透する」と回答しました。
「浸透する」の理由(自由記述)については、以下の回答がありました。
・オフィスなどのコスト削減のため(日本)
・ダイバーシティ推進、地方の優秀な人材確保のため(日本)
・通勤のストレスが減るため(南アフリカ)
一方、「浸透しない」の理由(自由記述)については、以下の回答がありました。
・マネージャーがテレワークを好まないため(チュニジア)
・研究所で働いているため(ポーランド)
・個人情報を取り扱うため(日本)
●図6 勤務先にテレワークが浸透するかどうか
■テレワーク経験者である日本人と外国人の7割以上は、「転職時、テレワーク制度の有無を重視する」と回答
テレワーク経験がある日本人と外国人に、「転職時、テレワーク制度の有無を重視する」かを質問したところ、いずれも7割以上が「重視する」と回答しました。
●図7 転職先を選ぶ時、テレワーク制度の有無を重視するかどうか
■新型コロナの影響での印象「テレワークのルール化」「柔軟な働き方」など挙がる
最後に、新型コロナウイルスの影響を受けて印象的だったことについて質問したところ、以下のような回答がありました。
・必需品の買いだめがひどく、また日本の対応の遅さが強く印象に残った(イタリア)
・日本は柔軟な働き方の選択ができるよう力を入れる必要がある(フィリピン)
・時間に関係なくメールなどの依頼が入るので困った。テレワークにはルールが必要だ(日本)
◆アンケート調査結果を受けて
ヒューマングローバルタレント株式会社 代表取締役 横川 友樹
テレワークについて、日本人・外国人の約7割がオフィス勤務と同等あるいはそれ以上のパフォーマンスを発揮できたと回答したことは、今後の働き方に大きな示唆を与えると思います。通勤のストレスがなくなったことにより、生産性が上がった人も多いことから、場所にとらわれない働き方に注目が一層集まりそうです。また、転職先を選ぶ際、テレワーク制度を重視する人は、日本人・外国人ともに7割を超えました。このように日本でも、多様性のある働き方が肯定された結果を踏まえ当社は、グローバルに活躍したい人により最適なポジションを提供できるよう、さまざまな活動や調査に取り組んで参ります。