個々の強みが発揮されない組織の原因

2060_160712

各国のビジネス文化を測る指標として、ホフステッドの6次元モデルが知られています。権力格差、個人主義、確実性(不確実性の回避)、長期的志向、男性らしさ、快楽性の観点で国別の文化を目に見える形で比較することができます。
この調査によると、日本は確実性、長期的志向、男性らしさが世界でもトップクラスの水準だそうです。

日本 韓国 アメリカ
権力格差(54) 権力格差(54) 権力格差(40)
個人主義(46) 個人主義(18) 個人主義(91)
確実性(92) 確実性(85) 確実性(46)
長期的志向(88) 長期的志向(100) 長期的志向(26)
男性らしさ(95) 男性らしさ(39) 男性らしさ(62)
快楽性(42) 快楽性(29) 快楽性(68)
(出典:The Hofstede Centre)

個人主義的なアメリカに対して、日本は集団主義的志向が強いというイメージをもつ人がいるかもしれません。
しかし、世界にはさらに集団的傾向が強い国があります。特にアジア圏の中で日本はむしろ個人主義的な傾向が際立っています。
実際、中国や韓国では大勢で連れだってランチに行くことが普通なので、一人でふらっと食べることができるレストランがなく困ったという話をよく聞きます。

さて、「質素・堅実」というのも日本人に好まれる価値観の一つといえるでしょう。
美学としては大切にしたい日本古来の文化ではありますが、ここ数年続くデフレを誘発する一因になっているとしたら・・・少なくともグローバルなビジネス環境にいる私たちは意識的にこの特質を捉えていく必要があるのだと思います。

特にアジアの新興国では、経済成長とそれに伴う物価上昇で昨年並みの給料は実質的に所得の減少を意味します。
対する日本企業の生産性の低さはG7参加国中最下位を続けています。
1人ひとりの能力は決して劣っているわけではないのに、組織全体では個人の強みが発揮されていないとすればいったい何が原因なのでしょうか。

あるワークショップで、自分自身の価値観と自分が属する部署・グループの価値観を相対化してもらうワークに取り組みました。
たとえば、自分は働くうえで「オープンであること」をどの程度重視するか、自分が属するグループはそれをどの程度重視しているかをそれぞれ数値化してもらいました。
その結果、メンバー全員の個人スコアの平均は72.5なのに、グループに対するイメージの平均は45.0とかけはなれたものになりました。

つまり、グループのほとんどの人が「オープンであること」を大切にしているにも関わらず、そのグループは「オープンではない」と感じている人が多かったという結果です。
なぜ「オープンでありたい」と考える人で構成されるグループがそれほど「オープンではない」のでしょうか。

もしかしたら私たちは、実在しない集団的な思考に勝手に縛られているだけかもしれません。
見えない同調圧力にがんじがらめになって、誰も行きたくない行き先を掲げた船に乗り合わせてしまっているとしたら・・・。

組織や地域の文化に合わせるだけでなく、個人の価値観を集団に反映させることの大切さを実感しています。

グローバリンクスでは、アジアに拠点をもつグローバル企業向けに組織文化とワークスタイルに関する無料セミナーを開催します。
アジアのカルチャーマップと組織ダイナミクス(2016年8月3日13:30~16:30)


掲載内容は、作者からの提供であり、当社にて情報の信頼性および正確性は保証いたしません。

 

株式会社グローバリンクスプロフィール
1968年創業のグローバル研修・組織開発コンサルタント会社です。近年の厳しい競争と変化の激しいビジネス界において、組織の能力を高め、顧客に対して独自の商品やサービスを提供するための支援を行っています。 [http://globalinx.co.jp/] ・メール:info@globalinx.co.jp ・電話番号:03-5297-8243