海外現地法人で陥りやすい「目標管理」の落とし穴

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「ガラスの天井」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
もともとは、組織内で実力や実績にかかわらず女性やマイノリティの人たちが一定の役職までしか昇進できず、それ以上の昇進が閉ざされていることをいいました。

日本企業が海外での事業展開を行う際には、表面上の違いだけでなく、なぜその現象(イベント)が生まれるのかに着目する必要があるでしょう。


Adapted from: Escalated Thinking.
http://escalatedthinking.com/tools_systems_thinking_iceberg.html

日本企業と海外の企業の最も際立った違いは、「目標管理(及び自己管理)」の考え方にあるように思います。
多くの日本企業では、ピーター・ドラッカーが提唱したこのコンセプトが正しく理解されず、誤って導入されているばかりか、中には“悪用”といっていい使われ方をしているケースすら見受けられるようです。
人事評価制度の一環として運用されている場合は、年度はじめに上司が部下から上がってきた目標に対して「もうちょっと頑張ろう」と目標の難易度を高める。年度末には、部下が「できた」と評価する項目に対して、精査して「厳しく査定」する。難易度×達成度=貢献度とされて、給与が決定される(減額される)。
これでは、ひと昔前の「人事考課制度」と本質的に変わっていません。

本来の目標管理は、人事評価制度とはまったく異なります。
もともとの言葉はManagement By Objectives and Self-Controlで、それぞれ専門的な知識をもったプロフェッショナルたちが目標と自己管理によって仕事を進めていくのです。
上司が進捗状況を確認することはありますが、細かな指示命令は許されません。
経営トップの目標は下位のエグゼクティブの目標達成の結果であり、マネジャーの部下たちの目標達成度合いがマネジャーの目標に貢献していく。
報・連・相談そのものを目的にすることや、目標達成に寄与しないサービス残業、胸先三寸の人事評価、他人との相対評価の余地がなく、健全な組織のための黄金律(ゴールデンルール)ともいえるでしょう。

形ばかりの目標管理を語った人事評価制度の背景には、「報酬と意欲は比例する」「上司は部下より知識と経験がある」「評価は他人が行う」「個人の貢献度の総和が企業全体の業績である」「アメとムチは有効である」といった、50年以上前の間違ったメンタルモデルがうごめいているのかもしれません。

日本企業がアジアや欧米を問わず、海外進出した際に失敗するのは、ここのマネジメントの勘違いがほとんどです。
現地や国内に関わらず、いかに従業員を有効に活用するか、つまりエンパワーメントができるかがマネジメントの本質といって間違いありません。


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