Daijob.com登録者に独自調査
■はじめに
2021年4月から、大企業を対象に中途採用比率の公表が義務化(※1)されます。その背景には、日本で少子高齢化が進んだことにより、キャリア形成や働き方が多様化したことがあります。今回の改定は、中途採用市場でキャリアアップを図るグローバル人材にどのような影響を与えるのか、Daijob.com登録者を日本人と外国人で比較して調査を行いました。
※1.厚生労働省より、雇用制度改革を目的に改正された「労働施策総合推進法」が施行され、「中途で採用した人数÷正規雇用労働者として採用した人数」の公表が義務化されます。
■調査の詳細
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【期間】2021年2月19日(金)~ 2月24日(水)
【対象】Daijob.com登録者
【人数】日本人:231名 外国人:263名
※質問により未回答もあるため、集計結果は必ずしもこの人数と合致していないことをご了承ください。
【内容】外国人と日本人の転職時の意識について(企業の中途採用比率に対する意識調査)
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■調査結果
1.大企業で中途採用比率の公表が義務化されることは、日本人・外国人共に、ほぼ知られていない
今回の改正について知っていたのは、日本人も外国人も、10%以下でした。来月(2021年4月)から公表が義務化されますが、一般的に認知度はまだ低い状況です。
2.転職活動時に、転職先の中途採用比率を意識している外国人は日本人の約2倍
転職活動時に、中途採用比率を「意識していた」のは、外国人が日本人の約2倍でした。日本では、“新卒一括採用制度”が浸透しているため、外国人が日本で働くに当たり、「転職希望の企業が中途採用を行っているのか?」「入社後の中途採用者の対応はどうなるのか?」などと、意識しているのではないかと推察されます。
3.中途採用比率は「社風を知るきっかけ」として意識している人が、日本人・外国人共に約70%
中途採用比率を「意識する」理由を探ってみると、日本人・外国人共に「社風を知るきっかけ」が最も多く、「職場に馴染めるのか気になるため」の項目では、外国人が日本人の約半数と少ない結果でした。中途採用比率を「意識しない」場合の理由も、「自分の業務に影響がないため」と「中途採用者が一定数在籍しているのは一般的であるため」の項目が、いずれも外国人の方が30%以上も多く、日本人との差が開きました。このことから、日本人は日本で浸透しているメンバーシップ型雇用(※2)の働き方に順応しようとする傾向があり、外国人は海外で主流のジョブ型雇用(※3)に習った考え方で、仕事に取り組む人が多いようです。
※2.メンバーシップ型雇用:仕事内容や勤務地などを限定せず、会社にマッチする人材を雇用する制度
※3.ジョブ型雇用:仕事(ジョブ)の内容に基づいて必要な経験・スキルを持つ人材を雇用する制度
4.転職時、基本的な企業情報の他に最も知りたいのは、日本人が「離職率」、外国人が「キャリアパス」
転職時に、基本的な求人情報以外で知りたいことのトップは、日本人が「離職率」、外国人が「キャリアパス」という結果になりました。日本は諸外国に比べて、転職回数が4回以上あるとネガティブに捉えられがちなため、どれだけ会社に在籍できるのかを気にする傾向があるようです。一方アメリカを例に出すと(※4)、「キャリアは自分で築くもの」という意識が強いこともあり、アメリカのベビーブーム世代(1957~1964年生まれ)においては、18~50歳の間で平均約12社に在籍していたというデータがあります(米労働省労働統計局の調査より)。このような、日本と海外の転職に対する意識の違いが、この質問結果の違いに表れています。
その他、外国人は「研修制度」や「在職社員の語学力」についてのニーズも高いです。Daijob.comの外国人材は日本在住者が多いため、日本の職場環境について、より具体的な状況を知りたいと思っているようです。
※4.Daijob HRClub「【海外の就活・転職事情】アメリカ人の就活・転職観を見てみる」を参照。
(https://hrclub.daijob.com/column/4513/)
■調査結果を受けて
ヒューマングローバルタレント株式会社 代表取締役 横川 友樹
今回の中途採用比率公表の義務化により、働き方だけでなく、キャリア形成の多様化がさらに進むことが予想されます。転職時に知りたいこととして、離職率やキャリアパス、入社後の研修制度などへの興味・関心が高い結果になり、企業と社員のエンゲージメントを高めることが、求職者にも企業にも、今後ますます求められていきます。