外国人が満足の理由は「自己成長」、不満足の理由は「給与」が最多
◆はじめに
日本国内では外国人労働者の雇用に注目が集まっています。4月には外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が施行され、新たな在留資格「特定技能」の申請が始まりました。技能実習生から正社員まで外国人雇用がますます増えると予想される中、日本国内の企業に外国人を受け入れる土壌が十分にできているか実情を探るため、日本での就労経験がある外国人ビジネスパーソンに就労満足度などの調査を行いました。
◆調査概要
調査期間: 2019年4月17日(水)~2019年4月21日(日)
調査対象条件: 日本国籍以外で、過去に日本で働いた経験があるか、現在日本で働いている者
有効回答数: 332名
調査方法: 「Daijob.com」を通じたインターネット調査
調査主体: ヒューマングローバルタレント株式会社
※端数処理の関係で、各グラフの内訳の合計が100%にならない場合があります。
◆調査結果
■日本での就労、4人に3人が満足
日本での就労満足度調査を見てみると、「満足」が26%、「やや満足」が47%と、およそ4人に3人に当たる73%の外国人が、満足していることがわかりました(=図1)。
一方「やや不満足」は20%、「不満足」は7%と、合計27%が日本での就労に不満を感じていました。
■満足を感じている理由で最も多いのは「自己成長」
肯定的な回答(「満足」、「やや満足」の合計)をした理由を見てみると、「自己成長」できることが25%と最も高い割合となりました(=図2)。以下、「給料」(23%)、「仕事内容」(15%)などが上位に続いています。
その他(自由記述)では、「会社がビザのサポートをしてくれる」、「チームワークが良い」などのコメントがありました。
■不満足を感じている理由で最も多いのは「給料」
否定的な回答(「やや不満足」、「不満足」の合計)をした理由を見てみると、「給料」の不満が32%と最も高い割合となりました(=図3)。以下は、「人間関係」(14%)、「自己成長」、「雇用の安定」(各10%)が上位に並びました。
その他(自由記述)については、「長時間労働」、「言語の壁」などのコメントがありました。
■「会社での飲み会」が多いという日本文化ついて、61%の外国人が肯定的な意見を回答
日本企業特有の文化のうち、「会社での飲み会」が多いことについて意見を尋ねたところ、「良いと思う」が32%、「少し良いと思う」が29%となり、61%の外国人が肯定的な意見を回答しました(=図4)。一方、「あまり良いと思わない」は23%、「良いと思わない」は16%でした。
飲み会に肯定的な意見の理由を尋ねてみると、「人間関係が良くなる」、「普段話さない人と仲良くなれる」という理由が多数を占めたほか、「自分のストレス発散にもつながる」との意見もありました。
一方、否定的な意見の理由を尋ねてみると、「プライベートの時間がなくなる」、「会社が支払ってくれないのが嫌だ」という理由が多数を占めたほか、「イスラム教徒でお酒を飲めない」、「健康に悪い」とお酒に関する意見もありました。
■日本以外に働いてみたい国、最多はアメリカ
日本以外に働いてみたいと思う国があるかどうかを尋ねたところ、第1位はアメリカの27%となり、以下はイギリス(8%)、オーストラリア、シンガポール、カナダ(各7%)と英語圏の国が続く結果になりました(=図5)。
アメリカを選んだ理由を尋ねると「給料の高さ」、「異文化交流ができること」、「能力主義」などが挙げられました。
◆日本企業に求めることについて
最後に日本企業に求めることについて自由記述で尋ねたところ、「年功序列制度をなくしてほしい」、「ルールをもっと柔軟にしてほしい」、「ダイバーシティの尊重」など、日本企業の柔軟性の乏しさを指摘するコメントが多数を占めました。その他の意見としては、「管理職になれる可能性が少ない」、「自国へ戻る特別休暇が欲しい」、「外国人扱いしないで欲しい」などが挙げられました。
◆アンケート調査結果を受けて
日本で働いた経験のある外国人のうち、73%が日本での就労に満足と回答し、理由の最上位に「自己成長」が挙がったことなど、日本の労働環境の特徴が見えました。一方で不満足の理由に「給料」を挙げたり、日本企業の柔軟性の乏しさが指摘されたりするなど、日本国内の労働環境にはまだまだ課題が残ります。
今後、国を挙げて外国人の受け入れに取り組む場合、日本が外国人に選ばれる国になるようさまざまな工夫をする必要があると考えられます。ダイバーシティな労働環境を推奨する当社は、今後も国内の労働環境などについて調査をしていく予定です。