2025年9月、グローバル人材の求職者動向:IT関連で前月比36%と大幅増加

hrclub-202506
ヒューマングローバルタレント株式会社が運営するバイリンガル転職サービス「Daijob.com」は、2025年9月のグローバル人材の動向をまとめた「Daijob.com求職者動向レポート」を発表いたします。

グローバル人材動向について:ここで指すグローバル人材とは、Daijob.comに登録しており、英語・日本語ともにビジネスレベル以上の言語能力を持つ人たちです。この対象者の中で、特定の期間中に「応募履歴がある」または「スカウトメールに興味を示した」ユーザーの動向を分析しています。

【主なトピック】
・前月比は「IT関連」が35.8%増と著しく活発化
・前年同月比は全体的に活発化、「IT関連」「電機・機械」が45%超えと大幅に増加


前月比は「IT関連」が35.8%増と著しく活発化

2025年9月の求職者動向を前月(2025年8月)と比較すると、「IT関連」と「電機・機械」の職種で大幅な増加が見られました。

特に「IT関」連は前月から35.8%増と著しい伸びを示しています。「電機・機械」も19.7%増と好調です。これらの職種は、後述する前年同月比でも大幅に増加しており、グローバル人材にとって非常に魅力的な分野であることがわかります。

一方、金融/保険/不動産系(-17.0%)とクリエイティブ(-12.8%)は前月から減少しました。この前月比の減少は、一見するとネガティブな動きに見えますが、必ずしもそうとは限りません。例えば、金融業界では上半期の締めとなる時期に転職活動を控える傾向が見られるなど、短期的な季節変動も影響している可能性があります。

2025年9月の「求職者数」動向比較(前月比)

前月比9月

前年同月比は全体的に活発化、「IT関連」「電機・機械」が45%超えと大幅に増加

次に、2025年9月の求職者動向を前年(2024年9月)と比較してみましょう。多くの職種で増加傾向にあり、グローバル人材の転職市場全体が活発化していることがわかります。

特に注目すべきは「IT関連」と「電機・機械」で、それぞれ45.3%増、46.6%増と大幅に増加しました。「金融/保険/不動産系」も前年同月比では34.5%増と大きく伸びており、前月比での減少は一時的なものだと考えられます。この前年同月比のデータは、短期的な変動だけでなく、市場全体の長期的なトレンドを強く示唆しています。

2025年9月の「求職者数」動向比較(前年同月比)
前年比9月

◇ 市場トレンドと季節要因から読み解く求職者動向
今回のデータから、グローバル人材の転職市場、特にIT関連と電機・機械分野が活況を呈していることが明確になりました。この背景には、単なる季節要因だけではなく、日本の経済動向や企業が抱える構造的な課題が深く関わっていると分析します。

1. IT人材需要のさらなる高まりと「2025年の崖」問題
IT関連の求職者が前月比・前年同月比ともに大幅に増加しているのは、日本のIT人材不足が深刻化している現状を如実に反映しています。経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」が現実となり、レガシーシステムの老朽化に伴うリスクが顕在化しています。これにより、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を喫緊の課題と捉え、AI、クラウド、サイバーセキュリティといった先端技術を持つIT人材の採用を強化しています。
特に、グローバル市場で競争力を維持するためには、海外に遅れをとっているとされるクラウド導入やインフラの近代化が不可欠です。そのため、高い専門性と語学力を兼ね備えたグローバルなIT人材へのニーズが、さらに高まっていると言えるでしょう。
企業は、老朽化したシステムを維持するコストと、新たなシステムを構築・運用する投資コストのバランスに苦慮しています。しかし、この「崖」を乗り越えなければ、国際競争力が失われることは明らかです。求職者側もこの市場の動きを敏感に察知し、自身のスキルが最も高く評価される分野へとシフトしていると考えられます。

2. 電機・機械分野の再興と技術革新
電機・機械分野もIT関連に匹敵する伸びを見せました。これは、日本の製造業がグローバル競争力を回復しようとする動きと無縁ではありません。特に、ロボティクス、IoT、EV(電気自動車)関連技術への投資が活発化しており、これらの分野を牽引できるグローバル人材への期待が高まっています。

例えば、EVシフトは自動車産業だけでなく、バッテリー技術や充電インフラ、さらには関連するソフトウェア開発といった多岐にわたる分野に波及しています。これにより、ITと電機・機械のスキルをハイブリッドに持つ人材が、特に高く評価される傾向にあります。求職者も、自身の持つ機械工学や電気工学の知識を活かしつつ、AIやプログラミングといったITスキルを習得することで、市場価値を高めようとしていると推測されます。

3.日本経済の回復と賃上げムードが転職を後押し
2025年の日本経済は、消費や賃上げに支えられ、緩やかな回復基調にあると予測されています。実質GDPはプラス成長が見込まれ、企業は人材への投資意欲を高めています。特に2025年春闘では賃上げ率の平均は5.52%で前年を上回り、2年連続で5%台をつけ(*)、物価上昇と合わせて、求職者の待遇改善への期待が高まっています。この経済状況が、転職市場全体の活発化を後押ししていると考えられます。

給与だけでなく、働き方改革も進んでいます。リモートワークやフレックスタイム制度の導入、さらには複業を推奨する企業も増え、グローバルな視点を持つ求職者にとって、国内企業への転職がより魅力的な選択肢となっています。

*出展:厚生労働省 2025年8月1日発表「2025年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」

4. 職種別トレンド詳細分析:注目すべき職種と背景
・営業職
前月比10.0%増、前年同月比8.2%増と堅調な伸びを示しています。これは、日本企業の海外事業拡大やインバウンド需要の再興に伴い、語学力を持つグローバルな営業人材へのニーズが高まっていることを示しています。特に、無形商材(SaaSなど)や先端技術を扱う営業職は、今後も需要が続くでしょう。

・教育/トレーニング/語学系
前月比13.0%増、前年同月比15.2%増と、こちらも安定した成長を見せています。これは、企業におけるグローバル人材の育成や、外国人社員向けの日本語研修のニーズが拡大していることに加え、個人レベルでの語学学習需要も高まっている考えられます。

・金融/保険/不動産系
前月比では減少したものの、前年同月比では34.5%増と大幅に伸びています。この背景には、海外投資家による日本市場への関心高まりや、フィンテック分野でのイノベーション、そしてインバウンド需要回復に伴う不動産取引の増加などがあります。短期的な変動に惑わされず、長期的な視点で見れば、グローバル人材にとって魅力的な市場であると言えるでしょう。

まとめ:今後のグローバル人材市場の展望と私たちの役割
2025年9月のグローバル人材の転職市場は、季節的な要因に加え、「2025年の崖」に代表されるIT人材需要の高まりと、日本経済の緩やかな回復基調が相まって、かつてないほどの活況を呈しています。特にIT関連職種は、前月比・前年同月比ともに顕著な伸びを示しており、今後もこのトレンドは継続するでしょう。

この活況は、企業にとっては優秀な人材を獲得するチャンスであると同時に、競争が激化していることを意味します。求職者にとっては、自身のスキルとキャリアを正当に評価してもらう絶好の機会です。

このレポートが、求職者の皆様、そして採用担当者の皆様にとって、より良い未来を築くための指針となれば幸いです。

2025年12月12日(金)には日本最大級のグローバル人材特化の転職フェア「Daijob キャリアフェア」が開催されます。毎回90%以上の出展企業様から「採用見込み求職者」に出会えたと高い評価をいただいております。求職者と直接コミュニケーションを取れるキャリアフェア、ご興味をお持ちの企業様は、ぜひお問い合わせください。

https://biz.daijob.com/lp/careerfair

採用に関するお問い合せは、お気軽にご相談ください。

採用のご相談・お問い合わせはこちら