第78回「定年退職時などの退職後再雇用における標準報酬の決定方法について」

2010.09.08 ,

例年に無く暑い日が続いた夏休みが終わりました。皆様は夏休みなど取られてリフレッシュされましたでしょうか ? 私は事務所も住まいも都心のど真ん中で、緑など非常に少ないところです。元々緑多い田舎出身のものですから夏休みは自然が恋しくなり、海へ山へと自然の多いところへ旅立ちます。
夏休み一番の収穫は、ドライブ中に野生のニホンザルの大群に出会ったことです。集落から車で数分の場所でしたのでこんなに人に近い場所にと驚いたのですが、人のいる里山ほどサルにとっても食べ物豊富で生きやすいのかもしれませんね。

平成 22 年 9 月 1 日より年金を受け取る権利のある 60 歳から 64 歳までの方が退職後継続再雇用された場合、再雇用された月から、再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に決定できることになりました。

1.対象範囲
【従来】
厚生年金保険に加入している方が退職後継続再雇用され、これに伴い給与が著しく変動した場合でも、原則として、引き続いて厚生年金保険に加入するものであることから、 4 カ月目に標準報酬月額の随時改定を行っていました。

例外として、
60 歳から 64 歳までの年金を受け取る権利のある方が定年により継続再雇用された場合に限っては、事業主との使用関係が一旦中断したものとみなし、被保険者資格喪失届及び取得届を同時にご提出いただき、再雇用された月から、再雇用後の給与に応じて標準報酬月額を決定していました。

【新たに】
高齢者の継続雇用をさらに支援していくため、この取扱いの対象を、定年の場合だけではなく、 60 歳から 64 歳までの年金を受け取る権利のある方が退職後継続再雇用される全てのケースに拡大することとしました。

2.対象者
年金を受け取る権利のある 60 歳から 64 歳までの方が退職後継続再雇用される方で
【定年制のある会社】
定年退職し、継続再雇用となる場合
→従来より、取扱可能です。

定年に達する前に退職して継続再雇用される場合
→新たに対象となります。

【定年制の無い会社】
定年制のない会社で退職後、継続再雇用される場合
→新たに対象となります。

3.注意事項
年金を受け取る権利のある 60 歳から 64 歳までの方が退職後継続再雇用され、再雇用の最初の月から給与変動に対応した標準報酬月額の扱いを受けるためには、被保険者資格喪失届と被保険者資格取得届を同時に提出が必要です。(なお、厚生年金基金及び健康保険組合に加入している事業所である場合には、当該基金、健康保険組合にも同様の届出が必要です。)

被保険者資格取得届には、新たな雇用契約を結んだことを明らかにできる書類(退職したことがわかる書類、再雇用時の雇用契約書又は事業主の証明等)の添付が必要です。

健康保険の傷病手当金を受けている方は、新たに被保険者資格取得届を提出されると、再雇用後の標準報酬月額をもとに給付額の計算を行いますので注意が必要です。

以上の通りですが、法令により 60 歳を超えた場合でも雇用する必要があること、不景気により退職したくても経済的に退職できない。次の社員が見つからず退職を迎えた社員にたよらなければならない。など企業によりさまざまな状況があるかと思います。
従来は雇用形態変更後 4 ヶ月後に月額変更届の届出、保険料の徴収及び納付は 5 ヶ月経過後に変更ということでしたので、その月から標準報酬が変わるということは労使ともにメリットのあるのではと思います。(一般に退職後の再雇用の方の賃金が下がっているでしょうから)
 

宮嶋 邦彦プロフィール
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