暑い日が毎日続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。先日お客様先から帰社したところ、目の前が急にクラクラ・・・朝からご飯食べていなかったこと、移動中に水をほとんどの飲まなかったために軽い熱中症になったようです。外に出る機会が多い方は、かばんの中にペットボトルを入れていれるなどして、水分補給をこまめにとることが大事なんですね。
前回は、外国人の社会保険についてお答えしてきました。今回は外国人が就業中に事故あった場合の労災保険の給付などのご質問にお答えしていきます。
【質問 1 】
外国人は労災保険が適用されるのでしょうか。
【回答】
労働者災害補償保険法(労災保険法の正式名称)の条文中では「労働者を使用する事業を適用 事業とする。」と記載されております。
日本では、公務員などの例外を除き、すべての労働者は労災保険の適用となります。したがって日本国内の事業場で使用(雇用)される労働者であれば、国籍を問わず労災保険が適用されることになります。
【質問 2 】
被災した労働者の就労資格がなかった場合はどうなります?
【回答】
その事故が業務上であると認められれば、その事業主と使用関係がある外国人労働者がどのような在留資格であっても労災保険が適用されます。就労を許されている在留資格をお持ちの外国人はもちろん、「留学生」「就学生」などがアルバイト中に事故にあってしまったときも適用になりますし、極端な話、不法就労者でも労災の給付の対象になります。
ただし、「研修」の在留資格で来日し、その「研修」中にけがをした場合などは、あくまで研修中であって、労働ではない、つまり業務中でもないし労働者でもないと考えられ、労災保険の適用にならないのでご注意ください。
【質問 3 】
治療が終了したが、障害が残り帰国した場合はどうなりますか?
【回答】
帰国することによって、年金や一時金をもらう権利がなくなるということはありません。その労災事故の後遺症としての障害の程度により年金または一時金が支給されるのですが、ご本人の母国などに帰国した後も、本人が指定する金融機関の本人口座に振り込まれることになります。この場合は、母国にある金融機関(現地の銀行など)の本人口座を指定して受け取ることも可能です。
また、不幸にして業務上災害により死亡した場合には、日本人と同様に一定の家族に対して死亡に対する年金が支払われることになります。
【質問 4 】
不法就労者が労災事故にあった場合、不法就労の発覚を恐れ、労災を隠した場合どうなりますか?
【回答】
事業場内で労働災害が発生した場合は、労働者死傷病報告の提出が義務付けられています。その提出を怠ると処罰されることがあります。
不法就労者を雇用していることの発覚を恐れて、労災を隠す行為は残念ですが、まったくないとは言えないようです。その場合、入国管理法などの違反だけではなく、労働安全衛生法違反として、労働基準監督署より送検される場合もあります。当然の話ですが、不法就労だからといってそのまま放置せずに早急に手続を行う必要があります。
日本で働く場合、国籍を問わずに、労働基準法も適用され、労働基準法の災害補償の金銭的裏づけとなる労災保険も適用となります。雇用保険は不法就労の場合、加入することはできませんが、労災保険は、業務起因性、遂行性および労働者性が認められれば、不法就労であっても、労働者保護の観点から労災の給付の対象となります。