ベンチャービジネスの聖地と言われている米シリコンバレー誕生の背景には、スタンフォード大学の周辺に位置する優秀な科学研究拠点、豊富なベンチャーキャピタル、米国国防総省の安定的な支出など、さまざまな要因がある。シリコンバレーの成功を導いた要因と類似している拠点や状況は、世界中に存在しているものの、シリコンバレーほど大きな影響力を持つビッグバンはまだ起こっていない。なぜなら、欠けている要素が1つあるからだ。
他の地域で欠けている重要な要素は、すべてを動かせるエンジンのような原動力を持つ特別な人々の存在である。ビジネスチャンスを活かすことができる技術のパイオニア的な存在だ。 現在、世界にはそのような人々が一歩一歩、グローバルIT業界を推進している場所が1つある。それはウクライナだ。
イノベーションへのカギは“人”にある
すべてのイノベーションは、創造的かつ勤勉で、グローバルな考え方を持つ人々によって推進されている。 ウクライナ人の中にはそれらの特徴を持つ人々が多いため、ウクライナのITはますます強化されるばかりである。
クリエイティビティの最前線に立つウクライナのスタートアップ起業家
世界をより良い場所にするという考えで、ウクライナのイノベーターは、医学、エコロジー、AI、IoTなどの分野でスタートアップを生み出している。
包括的なスタートアップエコシステムマップ、およびリサーチセンターである「StartupBlink」は、最新の調査で「ウクライナのスタートアップエコシステムは本当に刺激的である。ウクライナは数年前から、経済的困難に直面しているが、それでも大規模かつグローバルなテクノロジーを生み出すことに成功している。ウクライナ発祥のスタートアップ企業の例としては、大規模のメンバーベースを持つ「Grammarly」「Gitlab」「Ahrefs」などがあげられる」と述べている。さらに、世界で最も価値のあるユニコーン企業の中には、前述の「GitLab」(2,7億ドル)、「Revolut」(5,5百万ドル)、「TransferWise」(50億ドル)、「Bitfury」(10億ドル)など、ウクライナ発祥の企業がある。
ウクライナの開発者は、国境を越えて高く評価されている
ウクライナは、ヨーロッパにおいて最大のIT人材プールの1つを持っている。付加価値の高い革新的なプロダクトを開発・実装し、ウクライナ経済の競争力を高め、経済成長を刺激するのはまさにウクライナの開発者である。
ウクライナは毎年2万人の技術系学生を輩出しており、技術教育が充実していることで有名だ。世界経済フォーラムは、エンジニアリング、製造、建設の卒業生数で、年間合計13万人の若い専門家を輩出するウクライナを世界の上位10カ国にあげた。また、グローバルオンライン学習プラットフォームのCourseraは、ウクライナの専門家の技術スキルの高さも指摘している。最新のレポートによれば、ウクライナ人は技術スキルの習熟度で世界第4位にランクされている。このような事実があるからこそ、グローバル企業がビジネスの成長をサポートしてくれるウクライナの開発者を募集し、採用するのである。
ウクライナの技術専門家と世界市場をつなぐ架け橋、アウトソーシングエージェンシー
ウクライナのIT産業発展に貢献するもう1つの要素は、アウトソーシングおよびアウトスタッフィングエージェンシーの創設者である。彼らは、地元のIT専門家をグローバルで先進的な企業や組織へと橋渡しすることにより、ウクライナの才能を強化できると確信している。
実際にウクライナは、これまでにITプロジェクト開発のアウトソーシングの上位10カ国に7年連続で安定してランクインしている。
オフショアエバンジェリスト、オフショア開発会社「Mobilunity」のCEO兼創設者であるサモフスキーキリルは次のようにコメントしている。「ウクライナは、大きな成長の可能性を秘めたIT国家である。イスラエルはスタートアップ国家、エストニアはデジタル国家として知られているが、ウクライナはやがてIT国家として世界的に認められると確信している。グローバル企業にウクライナのIT人材プールを提供することは、双方にメリットのある成果を得るための鍵であると私は信じている。ウクライナ人はITサービスの輸出はお手の物であり、リモート開発チームモデルでは、クライアントが地域の特定の国や、場合によっては世界的に影響を与えるようなものを作っていることを暗示している」とのこと。
ウクライナはすぐに投資と国際的な好評を集めた
ウクライナのテック産業は好景気にわいている。 2019年は、ウクライナのIT業界への投資が5億4,400万ドルに達する記録的な年だった。これは、ウクライナのIT市場が年々成長し続けていることの証拠に他ならない。European Business Association(EBA)によれば、ウクライナのIT産業は、輸出額で第3位にランクインしており、総輸出額は45億ドルを占める。
ウクライナのITサービスは、国内市場ではなく、主にグローバルな市場で提供されている(228カ国、その大部分は北米とヨーロッパ)。この事実により、ウクライナのIT業界は、世界的にますます好評を博している。アウトソーシング企業を除いて、ウクライナには、AI / ML、ブロックチェーン、ゲーム、eコマース、デジタルトランスフォーメーションなど、さまざまな業界や垂直市場のグローバル企業向けの100を超えるR&Dセンターがある。
まとめ
ウクライナが世界で最も優れたコードアウトソーサーの1つであることを考えると、ウクライナでハイテクの奇跡が起こるのはもうすぐだ。新しいシリコンバレーと呼ばれようが呼ばれまいが、ウクライナのテクノロジーエコシステムは成長著しく、特に注目する価値がある。
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