梅雨に突入しうっとうしい日々が続いておりますね。今年は地域によっては渇水だったり、洪水を引き起こすほどの豪雨だったり、だんだん極端になってきております。これも地球環境の大きな変化なのでしょうか。
今回は外国人社員の社会保険の加入についてのご質問をいただきましたので、お答えしていきたいと思います。
【質問 1 】
外国人は社会保険に入らなくていいのでしょうか?
【回答】
日本の事業場に雇用されている人は、日本人と同様に社会保険に加入することになります。また、外国法人の日本支社の場合も日本に事業場があると考えますので同様に社会保険の加入が義務づけられます。
したがって、雇用される外国人がフルタイムで就労する場合は社会保険に加入、パートタイムで働く場合、週の所定労働時間および週の所定労働日数が正社員と比べて4分の3未満の場合は社会保険の加入の義務はありません。
【質問 2 】
雇用保険の加入についてはどうなりますか ?
【回答】
日本人と同様の要件となります。
( 1 ) 1年以上雇用される見込みがある場合
( 2 ) 週 20 時間以上の所定労働時間が見込まれる場合
上記の用件を満たせば加入することになります。ただし、不法就労の場合は雇用保険に加入することはできません。
【質問 3 】
厚生年金や国民年金の給付は ?
【回答】
25 年以上の、日本の公的年金の加入期間がある外国人は、日本人と同様の条件で老齢厚生年金、老齢基礎年金が受給できます。また障害や死亡した場合も同様に給付を受けることができます。
【質問 4 】
労働時間が少ないなどで社会保険に加入しない人の場合、国民年金や国民健康保険はどうなりますか ?
【回答】
外国人の方でも日本国内に住所を有する方の保険制度は日本人と同様になりますので、国民年金は加入となります。ただし国民健康保険は原則 1 年以上の在留資格がない場合は加入することはできません。
【質問 5 】
25 年間を満たさないなど年金の支給用件を満たさずに母国へ帰国した場合、今まで支払った保険料は無駄になるのでしょうか。
6 ヶ月以上の加入期間があり、給付を受けていない外国人に対して、「脱退一時金」という制度があります。
その条件は
( 1 ) 日本国籍を有していない方
( 2 ) 国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間の月数と保険料免除期間の月数の 2 分の 1 を足した月数 6 ヶ月以上、もしくは厚生年金の加入期間の月数が 6 ヶ月以上ある方
( 3 ) 日本に住所を有していない方
( 4 ) 年金などの給付を受ける権利を有したことがない方
以上の条件の方が日本を出国後、請求した場合に受けられるのが「脱退一時金」です。
その支給金額は加入月数に応じて下記のとおり支給されます。
<厚生年金保険の場合>
6ヶ月以上 12 ヶ月未満 … 平均標準報酬額× 0.4
12 ヶ月以上 18 ヶ月未満 … 平均標準報酬額× 0.8
18ヶ月以上 24 ヶ月未満 … 平均標準報酬額× 1.2
24 ヶ月以上 30 ヶ月未満 … 平均標準報酬額× 1.6
30 ヶ月以上 36 ヶ月未満 … 平均標準報酬額× 2.0
36 ヶ月以上 … 平均標準報酬額× 2.4
<国民年金保険の場合>
6 ヶ月以上 12 ヶ月未満 … 39,000円
12 ヶ月以上 18 ヶ月未満 … 78,800円
18 ヶ月以上 24 ヶ月未満 … 119,700 円
24 ヶ月以上 30 ヶ月未満 … 159,600円
30 ヶ月以上 36 ヶ月未満 … 199,500円
36 ヶ月以上 … 239,400円
この脱退一時金の手続きは、すべて日本出国後に行うことになります。また 2 年の時効が定められているので、出国後 2 年以内に脱退一時金の請求手続きを行う必要があります。
また、脱退一時金に所得税が課税され、源泉徴収された場合は、日本国内にいる方を「納税管理人」として税金の還付請求を行うことができます。
経済のグローバル化の進展に伴い人的交流が活発化し、母国以外の国に一定期間滞在して働く方も増えてきており、母国と滞在先国の年金制度2 重加入などの問題も生じてきております。これを解消するためすでに年金協定を結んでいる 4 カ国のほか、日本と交流人口の多い各国との年金協定を結び始めております。外国人を雇用する際には出身国と日本の間に年金協定があるか否かを確認する必要がありますのでご注意ください。