日本でもシェアハウスが定着したが、今回、紹介するのはオーナーから物件を預かり、家具や家電を装備し、借り手を見つけて、その後の管理まで、シェアハウス運営を丸ごと引き受けるスタートアップである。
アメリカでは従来、ルームメート探しは(有名な)電子掲示板が主流だった。しかし、利用者の質がピンキリで(犯罪者も)、かつ一連の手続きが非常に面倒である(たとえば、内見アポをすっぽかす輩などゴロゴロいる)。
頻繁に転職や転居を繰り返す若者には、通常一年の賃貸契約は長すぎ、転居の度に家具や電気・インターネットを移動するのも面倒すぎるのだ。(なお、アメリカでは家具のレンタルも定着している。)
そこで生まれたのが、この世代をターゲットに、長期の賃貸契約は不要で、身一つで転居でき、すべてオンラインで完結するサービスである。
なお、民泊は主に短期向け、従来の賃貸物件は長期で、賃貸期間2~4ヵ月という物件は限られており、穴場市場である。(ノマド生活を送る筆者は、米内外各地で中期物件を借りるのだが、供給数が少なく、常に苦労する。民泊・バケーションレンタルは中期で借りると割高で あり、かつ2~3ヵ月連続で借りるには半年以上前に予約を要する場合が多い。)
Bedly
URL | https://bedly.com/ |
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企業名 | Bedly Inc. |
本社所在地 | ニューヨーク |
創業 | 2015年 |
代表 | Martin Greenberg(CEO兼共同創業者) Benjamin Chester(COO兼共同創業者) |
フェイスブック | https://www.facebook.com/BedlyTeam/ |
ツイッター | https://twitter.com/bedly |
取扱物件数 | ニューヨークとボストンで計 350 戸 |
会員数 | 借主累計 1000 人以上 |
従業員数 | 12人 |
資金調達 | 2017年4月、シード資金270万ドル |
■ 創業経緯
既存の賃貸市場は旧態依然で、若い(ミレニアム)世代のニーズを理解していないという思いから、同世代向け賃貸物件サービスを思いつく。
■ 仕組み
若者向けに、主にシェアハウスの賃貸プロセスを簡素化したサービス。
米東西海岸都市では1DKのアパートが一ヵ月3000ドルほどするため、ルームメートととのシェアが主流。
取り扱い物件の 95%が家具付きで、シーツや台所用品も完備。
全物件が光熱費・Wifi込み。
借主は身一つで入居できる。
大半の物件は入居前に内見できず、入居までの手続きはすべてオンラインで行われる。
物件はすべて電子錠なので、入居時も暗証番号が発行されるだけ。
月極または3ヵ月以上の賃貸契約。(通常の賃貸契約は最低一年が主流。)
一部屋最低 900 ドル、1200~1500 ドル以上が主流。
月極の場合、月150ドル増し。
家賃は部屋ごとなので、同じ家やアパートでも部屋によって家賃は異なる。
家賃の支払はクレジットカードまたは銀行引き落としのみ。
家賃の支払や修理依頼など、すべてオンラインで行う。
物件を気に入らなければ Bedly の他の物件に転居可能で、新たに入居審査を受けたり、保証金を払う必要はない。
物件例
ニューヨークやボストンでは、こうした部屋が月 1200~2000 ドル。
トイレ・浴室は、2~6人でシェア。
室内は3Dや動画でも閲覧可能
特徴
物件は、すべて男女混合。
ペット、喫煙禁止。
宿泊客を呼ぶ場合は24時間前にルームメートに知らせるなど全物件共通のハウスルールあり。
入居時間(午後3~10時)や退去時間(午前10時まで)も定められている。
入居者(ルームメート)退去時には、Bedly がリビングや台所などの共有部分を清掃。
自分の家具を持ち込むことは可能だが、備え付けの家具の移動は借主の負担。
借り手にとってのメリット
・身一つで入居でき、転居も容易。
・長期の賃貸契約に縛られることもない。
・他の米都市と違い、東海岸の都市では、不動産業者を通じて賃貸した場合、手数料は借り手が支払う習慣。Bedly では手数料不要。
オーナーにとってのメリット
・家具や家電を装備から、借主探し、入居審査、運営まで丸ごと委託できる。
・アパートを丸ごと貸すよりも部屋ごとに貸す方が儲かるのだが、運営が非常に煩雑になるため敬遠する大家は多い。手間がかからず現状以上の利益が得られるのなら、Bedly のようなサービスを利用するメリットあり。(筆者はアメリカでの賃貸経営歴15年。)
Bedly ではデベロッパーとも提携し、アパート一棟を Bedly 仕様にし、物件管理も行う。
■ 収入モデル
オーナーから手数料。
■ 今後の展望
先月、調達した資金で、両都市での掲載物件増、借り手増を図る。
他都市への進出は、その後。
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