それに対し、昨年の3月15日に施行された製造業外国従業員受入事業は、法務省と経済産業省との共管となっており、この事業のために受け入れる外国人に対し、入国管理局に「〔製造〕特定活動」(以下「特定活動」という」)の申請が可能になりました。
上記二つの制度と合わせて、各企業、特に工業や製造業の企業は外国人従業員を受け入れる際、呼び寄せる趣旨及び職務内容によって、「企業内転勤」・「技能実習」・「特定活動」三つの在留資格の申請が可能となり、その使用道を理解したうえで、使い分ける必要があります。
「企業内転勤」という在留資格は数多くの企業によく申請されていると思いますが、注意すべきなのは職務の内容です。外国にある子会社等からの受入とは言え、職務内容は何でもよいわけではありません。例えば、工事現場や工場での単純反復作業や単なる体力的労働、又はオフィスの中でいわゆる雑務などは当在留資格の職務内容上の要件を満たしません。
新たな技能実習制度については、まず新たに創設された認可法人である外国人技能実習機構に技能実習計画認定申請をしなければなりません。その認定通知書が交付されて初めて在留資格「技能実習」を入管に申請することができます。また、技能実習計画認定申請を提出してからは約2か月程度の審査期間が必要であり、更に技能実習予定の4か月前までに申請しなければなりません。その後、入管に「技能実習」の申請に審査期間は約2週間程度まで短縮されましたが、計画認定申請の準備等を考えると、余裕をもって技能実習予定の8か月前~6か月前から計画認定申請の手配をし始めたほうがよいでしょう。なお、当該申請は7月3日から可能となっているものの、2018年1月31日までの日本入国且つ本年10月31日までの申請であれば、現在までのとおり、直接に入管に「技能実習」の申請は可能です。11月1日以降、全ての申請は技能実習計画認定申請⇒在留資格「技能実習」申請といった流れでしなければなりません。
一方、製造業外国従業員受入事業は、“我が国製造業の海外展開が加速している状況を踏まえ、本邦にある事業所を人材育成や技能継承等の機能を有する国内生産拠点として研究開発や設備投資を強化し、そこで確立された生産技術等を当該事業者の外国にある事業所に普及させることで、国内生産拠点と海外生産拠点の役割分担を図り、もって我が国製造業の国際競争力を強化するとともに、国内製造業の空洞化を押しとどめる。”(経産省HP)とする事業です。この制度の流れとしては、まず経産省に製造特定活動計画認定申請をし、審査期間は約1.5か月前後の目安です。認定証が交付された後、入管に在留資格「特定活動」を申請し、審査期間は約2週間程度とされています。計画認定申請前の準備等を考え、少なくともその外国従業員が日本入国の6か月前から認定申請の手配をし始める必要があると思います。その外国人が来日後の職務内容の要件には、一部の「技能実習」の内容を加え、且つ例えば工場の中での一チームリーダーとしての資質を備えるための専門的な技術も修得させる必要があります。
【三つの在留資格の申請上の要件等の異同】
今後は新たな技能実習制度及び製造特定活動制度について、実務上の申請ポイントや留意点などを掲載していきたいと思います。
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