在留資格認定証明書(COE)交付後の注意点

在留資格認定証明書(COE)交付後の注意点

 外国籍の方々を採用し就労していただく場合、企業によっては、すでに就労可能な在留カードを所持していることを前提として採用するケースがあります。手続きが少なく、すぐに就労開始できる人材を採用することは時間やコスト面から考えても採用側のメリットは多く、新たに海外から呼び寄せる手続きは、複雑で就労開始までの時間やコストがかかるイメージをお持ちの企業担当者も少なくないはすです。個々の申請内容により異なりますが、確かに、新たに海外から呼び寄せる手続きよりも、すでに就労可能な在留カードを所持している方を採用するほうが企業側の負担は少ないケースはあると思います。その一方で、転職での採用はせず、海外の大学や大学院を卒業後、新卒扱いで採用するシステムを構築している企業も多くあります。また、採用担当者を海外に常時配置し、海外の大学や大学院在学中にインターンやサマージョブを利用し、企業体験の場を設ける事で、卒業前に優秀な人材の確保を推進している企業も増えてきています。優秀な人材確保は今後の企業経営にとって必要不可欠な課題であります。この度は、在留資格認定証明書交付申請の基本的な流れではなく、よく相談を受ける注意点などを記載しましたので、今後の採用活動の参考にしていただければと思います。
 海外で採用し日本に呼び寄せる場合には、現地の日本大使館に直接申請を行う方法もありますが、現在では日本国内の入国管理局で在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行うのが98%以上を占め一般的な方法となっています。確かに、COEを取得する方法では比較的短期間で審査が終了するため便利ですが、取得後の有効期間が定められているため注意が必要です。COEの有効期間は交付後3か月以内となっています。そのため、申請の対象者はCOE交付後から3か月以内に日本への入国を果たさなければなりません。仮にこの期間内に日本への入国が果たせないようであれば、原則として交付済みのCOEは使用できず、再申請となってしまいます。申請内容によっては、入国管理局の審査期間が長引く傾向がみられ、長いケースでは申請からCOEの受領までに3か月以上かかるケースも見られます。このような状況を理解した人事部等が早めに申請を行うことが多くなりましたが、中には予想に反して1、2週間程度で結果が出てしまい、スケジュールが速まりすぎて結果として3か月の有効期間内に入国することが出来ず、やむなくCOEを返納して再申請するケースも見られます。COEの申請では、企業側のカテゴリー、申請内容、過去の実績等を分析した上で、入国予定を立て、入国管理局の審査状況を確認しながらタイミングを見計らって申請することが重要となります。
 また、多く相談が寄せられるケースですが、既にアメリカ等の査証免除国で90日の短期滞在を所持して日本に入国を果たした者が、その後COEを取得して就労可能な在留資格へと変更するようなケースです。この場合、短期滞在在留中にCOEが交付されれば、例外的に入国管理局は変更申請を受け付けてくれるケースがあり、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとしております。注意点として、変更申請中は、あくまでも短期滞在の活動しかできない事、審査期間が1か月程度かかる場合もある事、変更申請期間中に再入国をすることはできない事等があげられます。仮に変更申請中に日本から出国する時には、変更申請を取下げ、申請時に提出したCOEを返却してもらう必要があります。当然、再度日本に入国する場合には原則どおりに海外の日本大使館等でCOEを伴う査証申請を行うこととなります。当初のスケジュールには予定していなかった突発的な出来事が起きた場合にこのようなケースがみられますが、渡航先の日本大使館でCOEを伴う査証申請ができるかどうかは前もって確認しておく必要があります。というのは、原則として海外の日本大使館はそこに居住する人に対してサービスを行うこととなっており、渡航先が居住国でない場合には査証申請が拒否されることがあるからです。例えば、アメリカ国籍の方が打ち合わせ等で一時的に訪れた韓国では、日本大使館でもCOEを伴う査証申請ができない可能性があります。ただし、これについては明確な規定があるわけではなく、各国の日本大使館が個々の状況を伺い個別に判断しているようです。そのため、居住地ではない渡航先の日本大使館で査証申請を行う場合には、事前の確認が必要です。
 このようにCOE取得と国内変更を行う場合には、正確なスケジュール調整が必要です。申請人の業務スケジュール等を確認した上、本人にも事情をよく説明し納得してもらった上で、タイミングを見計らって申請することが求められます。


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