皆さん、こんにちは。
ESコンサルタントの金野です。
最近の傾向として、人事の仕事とは“賃金制度の改革”以上に
“イノベーションを起こせる人材を発掘する”
“将来に向けて次なる市場や商品、市場を生み出せる人材を育てる”
といった「人材のポートフォリオを組み直す」という点が
重要な仕事となってきています。
人事制度構築に関しても、
以前は「これを今期中に達成できたらお金をあげるよ」という
短期的な視点のものでしたが、これからは、イノベーションを起こし組織の
体質そのものを変えるという
“つながりを重視した中長期的な視点”からの制度づくりが求められています。
例えば、「前年度に立ち上げた事業はいくつあるか」
「二年以内に開発された商品の売上はどれくらいか」など、
イノベーション思考の目標を掲げたり、
社内の新しい仕組みを整えたりしていくことも必要でしょう。
いわゆる成功企業の社長さんにお話を伺うと、
「短期の利益を捨ててでも、企業文化に投資する」という視点を
持っているものです。
しかし、多くの会社では、そのような環境が整っていません。
イノベーションを起こすという目的を持ってCSR活動に
取り組んでいる会社や海外へと目を向ける会社があるにもかかわらず、
なかなか業績に結びついていないのは、
その会社の企業文化に問題があるのではないかと思います。
では、具体的には、
どのような人事制度づくりが求められているのでしょうか?
イノベーションは、
社内の「人と人のつながり」つまり「関係性」から生まれます。
しかし、良い関係性を創るためには風土から変えなくてはならず、
風土を変えるには時間がかかります。
さらにその風土が企業文化へと進化するまでには三年、
五年とかかるでしょう。
ですから、できる限りスムーズに良い関係性を創り出すために、
各々の行動の柱となる「クレド」や、
組織のあり方を示した「コンセプト」を定める必要があります。
クレドやコンセプトを定めることで、
風土に合わない社員が出てきて辞めてしまうのではと
慌てふためく社長さんがいらっしゃいますが、企業としては、
そこを乗り越えていかないといけません。
クレドとコンセプトに基づいてイノベーションを推し進められる
「社長の分身」を作るためには、それほどの覚悟が必要なのです。
人事部の役割は、この「社長の分身づくり」です。
企業の価値を認識し、現場で「社長だったらどう考えるだろうか」と
判断できる、すなわち企業文化を体現していける社員をいかに多く発掘し、
育成していけるのかが課題です。
イノベーションを推し進める企業にとって、
人事制度は欠かせないものです。
イノベーションを起こすということは
“企業文化の質を変化させること”であり、
それはすなわち“コミュニケーションの質の変化”に他なりません。
つまり、経営者と社員をつなぐ唯一のコミュニケーションツールで
ある人事制度の改革なくしてイノベーションは起こらないのです。