採用予定者が就業できなくなったケース

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2016.04.20

この春も多くの外国人新卒者が日本の企業に就職し、弊社でも手続きをサポートさせていただきました。

採用内定者の中には、残念ながら手続きの途中で辞退される方や卒業の可否によって4月1日から就労できない方もいます。
既に入国管理局での手続きを進めていた場合、適宜企業の側で手続きを行う必要があるので今回は大きく4つのケースをご紹介したいと思います。

● 在留資格認定証明書交付申請手続きの場合

新たに外国にいる方を採用する際に申請するのが在留資格認定証明書交付申請手続きです。この手続きの場合、入国管理局での審査中に辞退した場合と審査後に辞退した場合とでは手続きが異なります。

❶ 審査中に内定者が辞退したような場合
申請自体の取り下げを行い、手続きを取りやめる必要があります。
入国管理局への手続きは内定辞退の連絡を受けた招へい企業側で行う必要があります。
取り下げの意思が入管に伝わり手続きを終えると、申請時に切手を貼って提出した封筒が取り下げ確認とともに返送されてくる場合があります。確実に取り下げて続きが済んでいるかどうか、入国管理局に電話等で確認することをお勧めいたします。

❷ 在留資格認定書が交付された審査後に辞退したような場合
既に審査が終了しているため取り下げではなく在留資格認定証明書の返却を行う必要があります。
既に国外に送ってしまった様な場合であっても、弊社では送り返していただき理由を付して返却しています。
厳密には辞退ではありませんが、ご本人様都合により入社日を半年後に変更されたお客様がいました。この時は既に国外に認定証明書を発送しVISAの発行手続きまで終えた後でしたが、適切にVISAのキャンセル手続きを経た後在留資格認定証明書の返却を行いました。既に入国管理局には事情を説明してあったため、二度目に改めて申請する際にはスムーズに手続きを進めることができました。
入国管理局では過去の申請記録が残っています。在留資格認定証明書自体は放っておけば使用期限がきて効力を失いますが、企業側の採用の姿勢を適切に伝えるためにも適切に返却することをお勧めいたします。
 

● 在留資格変更許可申請手続きの場合

国内に居る留学生などを採用する際に、就労資格への変更を行うのが在留資格変更許可申請手続きです。この手続きの場合も、やはり入国管理局での審査中に辞退した場合と審査後に辞退した場合とでは手続きが異なります。

❶ 審査中に内定者が辞退したような場合は申請自体の取り下げを行い、手続きを取りやめる必要があります。
原則として本人が手続きを行う必要がありますが、場合によっては企業側による捺印など協力を求められる場合もあります。内定を辞退した企業と辞退者が協力するのはなかなか難しいかもしれませんが入国管理局より求められた資料であれば適切に提出することが必要です。

❷ 在留資格変更許可申請手続きが完了し入国管理局から通知が届いた後に辞退や卒業できないことが発覚した場合、こちらも本人が手続きを行う必要があります。
よくご質問を受けるのが、就労資格への変更手続きを終えたものの残念ながら卒業が出来なかったため「留学」を維持しなければならない場合です。この場合、企業の側で直接対応する事はありません。一方で本人は入国管理局まで出向き審査官に事情を説明し適宜必要な手続きを行う必要があります。

 
採用予定者がスムーズに在留資格の手続きを終えて入社することが一番望ましいですが不測の事態はつき物です。
入国管理局では採用予定者の外国人の方は勿論ですが、採用する側である企業の記録も残されています。適切に対応することで良い実績を残し、入国管理局から信頼を得ることも手続きをスムーズに進める上で大切なことだといえるでしょう。

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ACROSEEDグループプロフィール
日本における外国人の法務サービスに特化したコンサルタント会社です。1986年の行政書士事務所の開業以来、外国会社の日本進出支援、外国人のビザ申請、外国人雇用のコンサルティングなどを25年以上にわたり専門に扱ってまいりました。[http://www.acroseed.co.jp/]  ・メール:contact@acroseed.co.jp ・電話番号:03-6905-6370