外国の公的機関から交付される書類を添付情報として提出する際の注意

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ニュースで耳にする様に、昨今の世界情勢は不安定な状況が続いています。クリミア半島のウクライナからの独立、ロシアへの編入もその1つでしょう。
今回ご紹介するケースは、このクリミア半島出身のご夫婦の在留資格認定証明書交付申請についてです。旦那様が日本の企業に内定し、奥様が家族滞在として共に来日しようとしたところで必要添付書類に問題が生じた事例をご紹介いたします。

クリミア半島が編入したのは2014年頃の出来事ですが、ご夫婦の婚姻した当時はまだウクライナの一部でした。2016年現在クリミア半島はロシア政府が現実支配しており、ご夫婦の所属する国籍はロシア国籍で新しいパスポートもロシア政府から交付されていました。
2014年以前にウクライナ政府より交付された婚姻証明書には当然ウクライナ国籍と明記されていますが、家族滞在の申請に欠かせないのがこの婚姻証明書の提出です。入国管理局は当然クリミア半島での出来事を把握していましたが、現状と異なる国籍情報が記載され、過去にウクライナ政府から交付された証明書を有効な添付情報としては受け付けませんでした。

そこで職員の方と相談した結果、現実支配しているロシア政府が夫婦の婚姻を認める旨の証明書があればそれを以って必要書類に充てることが出来るとの回答を頂きました。具体的には、ロシア政府から出された新たな証明書、あるいは過去にウクライナ政府から交付された婚姻証明書をロシア政府が公証したものがこれに当たります。入国管理局としては、現時点において有効な外国の政府が証明した婚姻の情報であれば、それに基づいて家族滞在の資格を交付することができるとのことでした。

本件は出身地が他国の一部に編入されるという非常に珍しいケースでしたが、こうした状況は昨今の不安定な世界情勢を見ると今後も起こりうる事態です。証明情報として外国の公的機関から交付された書類を添付情報として提出する際は、念のため注意が必要だといえるでしょう。
入国管理局に提出する添付書類には細かく正確な物が求められます。今後も様々な事例を踏まえ、皆様に有益な情報をご提供して参ります。

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ACROSEEDグループプロフィール
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