2012年に高度人材外国人制度が導入されて約4年が経過しました。高度人材外国人として認められることにより5年の在留期間の付与、迅速な審査等、様々な優遇措置が適用されることが魅力として取り上げられてきました。一定のポイント数を所持する外国人にとっては、通常の就労ビザに比べて在留状況が優遇されているため、申請を希望される方が増えているように思われます。
その中で、よくお問い合わせをいただく優遇点や、特にその優遇を受けるために手続きが必要なものをまとめましたのでご参考にしていただければと思います。
・配偶者の就労
就労ビザを有する方が扶養する外国人の配偶者は、在留資格「家族滞在」が付与されます。「家族滞在」の在留資格は原則として就労不可となっており、そのままでは就労することはできません。しかし、高度専門職の優遇措置のひとつとして配偶者の就労が認められています。
そこで、「家族滞在」の在留資格で、制限なく就労ができるのかとよくお問い合わせをいただきますが、このままでは就労することはできません。
高度専門職の優遇措置としての配偶者の就労を利用されたい場合は、入国管理局の手続きを経て「特定活動」の在留資格の取得が必要とされています。それでは通常の就労ビザへの手続きと変わらないのではと感じると思いますが、就労ビザへの変更申請との大きな違いは、配偶者が就労ビザへの適合性(例えば大学卒業または10年以上の実務経験)を有しているかどうかは判断されないため、学歴や経験をお持ちでない方でも就労可能な資格が交付されるということが挙げられます。この在留資格「特定活動」を取得後は、フルタイムで就労が可能となり、週28時間以下と定められている資格外活動よりも幅広く認められます。なお、この「特定活動」での活動内容として想定されているのは、在留資格「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」または「興行」に該当するものとされているようです。
・親の帯同
在留資格「家族滞在」ですが、日本で就労ビザを有する外国人の配偶者または子に限られています。親の帯同は原則認められておりません。そのため、親は孫の面倒を見る、妊娠中の子供や家族の手伝いをする等のため来日する際は観光や親族訪問を目的として最長90日の短期滞在の在留資格で入国するケースがほとんどですが、高度専門職の優遇措置のひとつとして親の帯同、長期滞在が認められました。親の帯同を明確に認めた画期的な制度と言えます。目的として定められているのは高度人材外国人またはその配偶者の7歳未満の子供の養育をする場合、高度人材外国人の妊娠中の配偶者または妊娠中の高度人材外国人本人の介助等を行なう場合とされています。また、この長期滞在のため申請する在留資格「特定活動」には、一定の条件が求められます。具体的には、その高度人材外国人の世帯の収入が800万円以上あること、高度人材外国人と同居すること、高度人材外国人またはその配偶者のどちらかの親に限ることとされています。
ご本人やご家族の状況等によって日本においてどのような生活を送りたいのかは様々かと思います。上記手続きおよび要件をご参考にしていただき、優遇制度を有効にご利用いただければと思います。
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