外国籍社員の家族に対するサポートの必要性

家族へのビザサポート

 就労目的で日本に来日する外国籍の方々は年々増加しています。それに伴い当方でも家族の在留資格の申請をサポートさせていただくことが増加しています。企業によっては本体者のみ申請のサポートをおこない、家族に関してはサポートせず、本人に任せる傾向がありますが、優秀な外国籍社員を確保、定着、そしてより活躍していただくためには、家族も含めて在留資格をサポートすることが必要となってきていると感じております。
そもそも、在留資格「家族滞在」とは、本体者の在留資格の種類にもよりますが、本体者の扶養を受ける場合に許可される在留資格です。配偶者又は子に限られ、親、兄弟、親戚などは在留資格「家族滞在」に該当しません。(「高度専門職」等、一定の要件をクリアした場合、親に許可される在留資格はあります。)当方で実際に相談や申請をサポートさせていただいたケースを三つ程ご紹介させていただきます。

1.出生証明書に子の名前の記載がない
本国で子の名前を登録する前に出生証明書を発行したため、子の名前が空欄の出生証明書を提出してくださった方がいました。審査をする入国管理局としては、本当に両親の子なのか、申請人である子と出生証明書に記載されている人物は同一なのか等を確認する必要があります。また、審査時には面談はないため、すべて書面で立証する必要があります。そのため、出生証明書には、個人を特定するための情報(両親の名前、両親の生年月日、子の正式な名前、子の生年月日など)が必要となってきます。この案件では、新たに子の名前を追加記載した出生証明書をご手配いただくことで無事に在留資格「家族滞在」の認定証明書が交付されました。

2.同性婚のため証明書が発行できない
従来、配偶者の在留資格「家族滞在」は日本の婚姻に関する法令においても有効なものとして取り扱われる婚姻に限られ、外国で有効に成立した婚姻であっても同性婚による配偶者は含まれませんでした。しかし、平成25年にフランスで「同性婚法」が施行されるなど、外国における同性婚に係る法律が整備されはじめたことで、日本でも在留資格「特定活動」により長期滞在することが認められる可能性もでてきております。しかし、同姓婚が認められている国の証明書がなければ入国管理局での審査は進まず、当方にご相談いただいケースでは、要件に該当せず、申請を断念せざるを得ませんでした。今後、上記のようなケースは増加すると思いますが、前もって要件を確認する必要があります。

3.日本で誕生した子の在留資格取得許可申請
日本は生地主義を採用していないため、日本で誕生=日本国籍取得とはなりません。在留資格の手続きが必要となります。また、出生後30日以内に在留資格取得許可申請をおこなう必要があります。このケースでは、当方に相談があった時点ですでに出生後25日経過していたため、急いで、書類を準備し、入国管理局に駆け込み、何とか申請が受け付けられました。親としては30日以内という期限を知らず、会社側からも何も通知や話しはなかったため遅れたと話しておりました。勿論、親の責任になりますが、やはり会社側から申請が必要な旨の通知などをすることが重要ではないかと思いました。

上記三つのケースをあげさせていただきましたが、すべて会社側の手続きではなく、就労する外国籍の方々の責任でおこなう手続きになります。しかし、逆の立場で自分自身が海外の会社に雇用され仕事をする際、海外の会社が家族の身の回りまでサポートしていただけるのと、まったくサポートしないのとでは会社に対する信用度、安心感、職務への集中度合はまったく異なるはずです。会社を信用し、安心して、職務に打ち込める環境を作るのも、優秀な外国籍の方々を継続的に雇用する重要なポイントであり、今後の日本企業の課題の一つではないかと感じております。


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ACROSEEDグループプロフィール
日本における外国人の法務サービスに特化したコンサルタント会社です。1986年の行政書士事務所の開業以来、外国会社の日本進出支援、外国人のビザ申請、外国人雇用のコンサルティングなどを25年以上にわたり専門に扱ってまいりました。[http://www.acroseed.co.jp/]  ・メール:contact@acroseed.co.jp ・電話番号:03-6905-6370