タイトルのとおり、今更ですが、今回は在留資格に関する基本的知識をいくつかお伝えしたいと思います。
★言葉の意味
他の多くの国と違い、日本に滞在するに当たり、いわゆる「ビザ」という言葉のほか、「在留資格」という概念が存在します。
一般には、長期間日本滞在するに当たり、最初の日本に上陸するときに必要なものは「ビザ」(日本語は「査証」)といい、そこに「ビザ」の種類及び日本上陸後の滞在できる期間が記載されます。
上陸の日から、「ビザ」に規定される期間どおりの「在留資格」が与えられます。その期間が経過した後も引き続き日本に滞在するためには、「在留期間」の更新又は「在留資格」の変更申請という手続を入管にする必要があります。
★認定申請から来日までの流れ
日本の企業が海外に在住する外国人を雇用して呼び寄せるために、次のステップが現在多く利用されています。
①【在留資格認定証明書】を申請人本人又は雇用企業の担当者(いわゆる代理人)より日本の入管に申請する(「認定申請」という)。通常、申請から結果までは約2週間~2か月前後かかる。②問題がなければ【在留資格認定証明書】が申請書に記載される住所(企業の所在地である場合が多い)に送付される。③【在留資格認定証明書】の原本を基に申請人本人より在外国日本大使館等に【査証】申請する。問題がなければ、申請から5営業日以内に【ビザ】(【査証】)がパスポートに貼られる。④来日して入社する。
★変更申請
日本の新卒留学生を採用するに当たり、就職者の在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更申請するのは一般的です。しかし、日本の大学の卒業式は通常、3月又は9月の25日前後に行われるため、4月1日や10月1日の入社に間に合うために、大学卒業後又は大学院終了後ではなく、その2,3か月前の卒業見込又は修了見込の段階で申請する必要があります。
また、中国圏留学生の場合は、毎年の1月又は2月に春節(旧正月)があるため、その多くが春節の前から一時帰国してしまいます。それゆえ、帰国前に申請を済ませることがとても重要です。
なお、在留資格の変更申請が許可された後、「証印」(許可された後に新しい在留カードを取得する手続のこと)のために、卒業証明書又は修了証明書を入管に提出する必要があります。
★更新申請
引き続き企業に勤務するために、在留期限日までに在留期間を更新申請する必要がありますが、ときどき申請人が出張などの事由で企業の人事担当者に代理申請を行わせようとするケースがあります。しかし、「認定申請」と違い、能力が欠ける者等を除き、更新申請や変更申請は、取次者(≠代理人)によらなければ、申請は申請人しかできません。
また、変更申請と同じ、在留資格の更新申請が許可された後、「証印」の手続が必要であり、申請と合わせて計2回入管に行く必要があるため、出張など日本を出る予定があるときはスケジュールを事前に組んでおくことが重要です。
なお、更新申請は原則、在留期限日の前3か月以内になってから申請ができ、審査期間は変更申請と同じく概ね1か月半程度かかります。
★高度専門職ポイントを基に永住申請
平成29年4月26日の永住申請ガイドラインの改正により、企業に勤務している外国人従業員から人事担当者に永住申請の相談が急増しているようです。今回改正の勘所は法務省が掲載した高度専門職ポイント表を基に、現時点に80ポイント以上ある場合は遡って1年前から継続して80ポイント以上あり、現時点に70ポイント以上80ポイント未満の場合は遡って3年前から継続して70ポイント以上あれば、永住申請が可能となった点です。
そこで、上記要件で永住を申請するには先ず「高度専門職」の在留資格を得なければならないと思い込んでいる方がいます。実は上記の改正は、「高度専門職」の在留資格を有しなくとも、仮にポイントを計算した場合は同様とされるため、「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格であっても高度専門職ポイントを基に永住申請することが可能です。
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