中途採用時の注意すべき点

中途採用時の注意すべき点

 4月1日又は10月1日入社の採用と違い、新卒の外国人の大多数が「留学」の在留資格を持つに対し、中途採用する際には、様々な在留資格を有する外国人が応募してきます。ここで、企業は採用する前に在留資格に関し注意すべき点がいくつかあります。

 先ずしなければならないことは在留カードの確認です。在留カードを常に所持することは外国人に義務付けられているため、その在留カードの確認は面接の最初に確認することをおすすめします。それに、確認は写しや写真などではなく、現物を確認することが重要です。なぜなら写しはいつコピーしたものなのかや写真はパソコンで編集されなかったものなのかは分からないからです。(ちなみに、最近は在留カード自体が偽物であることがときどきテレビ番組で紹介されています。現物を見れば在留カードは本物か否かが分かるわけではありませんが、現物を確認することは重要かと思います。)

 続いて中途採用時によく見かける在留資格の種類ごとに注意すべきところについてご紹介します。

★「留学」の場合
・通常は「留学」から「技術・人文知識・国際業務」(以下:「技人国」という)に変更申請すればよいのですが、入管法上、留学を終えた後、3か月以内に日本を出国又は在留目的に応じて他の在留資格に変更申請することが規定されているため、卒業又は退学してから3か月が過ぎた場合は、「技人国」への変更申請の審査に影響を及ぼしかねません。

・一旦アルバイトとして採用し、「技人国」の許可後に社員として採用したいというケースでは、「資格外活動許可」のスタンプを確認するほか、週28時間を限度に許されるアルバイト等の活動は、現に有する在留資格に認められる活動をしていることを前提とするため、原則、日本で留学の実態が終わったらアルバイト等をしてはなりません。

・卒業後の外国人をアルバイトとして採用したいとき、「留学」からいわゆる〔就職活動〕の「特定活動」に(「資格外活動許可」も同時に)変更申請することを面接者に推奨することができますが、この申請では卒業学校から『推薦状』を発行してもらう必要がありますが、発行されるために種々の要件が学生に課されるため、卒業校の『推薦状』がなければ申請が許可されないことも要注意です。

★「特定活動」の場合
 「特定活動」の在留カードを所持する外国人が面接に来る場合は、事前にパスポートの持参を本人に伝え、在留カードのほか、パスポートにホチキスで止められる『指定書』というものも確認しなければなりません。

・『指定書』に記載される内容はいわゆる〔就職活動〕の場合は、通常は新卒採用と同様に「技人国」に変更申請すればよいです。

・『指定書』に記載される内容はいわゆる〔高度人材〕の場合は(PS: 在留資格自体が「高度専門職」の場合も同様)、高度人材だからと言ってそのまま在留資格に関する手続なしで転職ができるわけではありません。〔高度人材〕の場合は、『指定書』に明確に勤務機関が規定されるため、転職する度に「技人国」や「高度専門職」などに変更申請しなければなりません。また、「留学」の場合と同じく、前職を退職して3か月以上経った場合は変更申請に影響を及ぼしかねません。更に、新たな在留カードを取得するまで、原則、アルバイトを含めて新職場に勤務することができません。

・『指定書』に記載される内容はいわゆる〔高度人材〕の〔家族〕の場合、通常は新卒採用と同様に「技人国」に変更申請すればよいです。

・『指定書』に記載される内容はいわゆる〔ワーキングホリデー〕の場合、通常は新卒採用と同様に「技人国」に変更申請すればよいのですが、国籍によって〔ワーキングホリデー〕から他の在留資格に変更申請することは入管に認められない場合があるので、注意が必要です。

 ★「技人国」の場合
通常はこのまま採用して入社させることは問題ありませんが、主に次の2点は注意する必要があります。

・退職して3か月以上経った場合、今後の在留期間更新申請に影響を及ぼしかねないため、採用の再検討又は在留資格専門の行政書士や弁護士に相談することをおすすめします。

・「技人国」の在留資格を取得したとはいえ、最高学歴は日本の専門学校卒業の場合、職務内容と専攻や履修科目との関連性が入管に厳しく審査されるため、その専門学校が発行する成績証明書などでこれからの仕事内容との関連性を確認することをおすすめします。

 また、安心して「技人国」を有する外国人を雇用したいときは、『就労資格証明書』を入管に申請して取得したほうがよいかと思います。(義務ではありません。)

 ★「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の場合
 通常、この二つの在留資格に就労の制限がないため、会社は何もせずにその外国人を雇用しても問題ありませんが、実務上、既に“日本人の配偶者”や“永住者の配偶者”の身分でなくなったケースは稀ではありません。それらの身分でなくなった場合は原則、6か月以内に日本を出国しなければならないため、長期雇用などを予定しているときは、他の法律に違反しない程度で日本人又は永住者と婚姻中である事実の確認が重要です。


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ACROSEEDグループプロフィール
日本における外国人の法務サービスに特化したコンサルタント会社です。1986年の行政書士事務所の開業以来、外国会社の日本進出支援、外国人のビザ申請、外国人雇用のコンサルティングなどを25年以上にわたり専門に扱ってまいりました。[http://www.acroseed.co.jp/]  ・メール:contact@acroseed.co.jp ・電話番号:03-6905-6370