永住許可に関するガイドラインが平成29年4月26日に改定され、永住要件が緩和されたとのことで、今年は永住のご相談をいただくことが非常に増えました。ガイドライン改定後に申請した永住の結果がいくつか出てきましたので、あらためて永住に関してお話させていただきます。
【永住を取得する主なメリット】
1.在留期間が無期限となる
→就労の在留資格は在留期限が切れる前に在留期間更新許可申請をする必要がありますが、永住者の場合は在留期間が無期限のため、オーバーステイとなる心配がありません。
※在留カードの有効期間の更新申請は必要です。
2.就労制限がない
→「技術・人文知識・国際業務」のような専門的な職務内容が求められる就労の在留資格ですと、スーパーのレジなど単純・反復作業を職務内容とすることができません。しかし、永住者の場合は就労制限がないため、専門的な仕事はもちろんのこと、単純・反復作業も行うことができ、また、無職でも問題ありません。
3.住宅ローンが組みやすくなる
→永住者ではないと住宅ローンが組めないことがあります。
【永住申請をする場合の主な要件】
1.引き続き10年以上本邦に在留していること。
2.日本人の配偶者の場合、婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。
3.高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、「高度人材外国人」として1年以上継続して日本に在留していること。
4.高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、「高度人材外国人」として3年以上継続して日本に在留していること。
永住申請の要件として、原則10年以上在留していなければなりません。しかし、ガイドライン改定後に登場した3.4.の永住申請(いわゆる「ポイント永住」)は、最短1年で永住申請が可能です。そのため、日本に在留する優秀な外国人の方たちがこの要件で10年を待たずに永住申請をすることができ、結果的に永住申請が殺到しました。そのため、ガイドライン改定前の永住審査期間は約6ヶ月程度でしたが、改定後のポイントを使っての永住申請の場合ですと、12ヶ月かかったケースもございました。
【永住申請に関してよくご質問を頂戴する事項】
1.現在「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就労しているが、ポイント永住を使って申請する場合、「高度専門職」を取得しなければならないのか。
→永住申請時とその時から遡って1年前(3年前)に80点(70点)を証明することができれば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格のまま、申請することは可能です。永住申請のために「高度専門職」へ変更する必要はございません。
2.現在「高度専門職」で在留しており、子供の養育のため、海外から両親を呼び寄せているが、永住取得後も引き続き両親を滞在させることはできるのか。
→「高度専門職」にはいくつか優遇措置が認められており、一定の条件を満たせば、子供の養育のため親を帯同させることができます。この優遇措置は「高度専門職」のみ認められており、他の在留資格に変更した場合は、この優遇措置を受けることができません。
3.永住の申請要件を満たしていれば、必ず永住を取得することはできるのか。
→入管では申請要件とともに、「素行が善良であること」、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」、「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」などを総合考慮して、永住の審査を進めております。そのため、交通違反を犯していないことや税金・年金・社会保険を未納なく支払っていることも要件のひとつとされています。
4.「永住」と「高度専門職2号」の違いが分からない。
→「高度専門職2号」というものは、「高度専門職1号」又は高度人材としての「特定活動」を3年以上お持ちの方が「高度専門職2号」に変更申請できるというものです。在留期間が無期限となる点は永住と同じですが、高度人材として在留しているため、原則として就労していることが要件となります。専門的な職務内容でなければならず、単純・反復作業を行うことはできませんし、もちろん無職となることもできません。しかし、「高度専門職」には一定の条件のもとで、永住にはない優遇措置が認められております。そのため、子供の養育のため海外から親を呼び寄せている場合や家事使用人を雇用している場合には、永住に変更しないほうがよい場合もあります。
掲載内容は、作者からの提供であり、当社にて情報の信頼性および正確性は保証いたしません。