下記で紹介するのは、東南アジア数ヵ国で、IT人材のマッチングを行っているタイ本社のGetLinksである。
　東南アジアのそれぞれの国だけでは市場が小さすぎることから、ASEAN内で国境を越えたボーダーレスの人材マッチングを目指している。（本レポートに出てくるタイのLazadaやインドネシアのTraveloka、マレーシアのGrabなども、自国だけでなく、東南アジア全域で展開している。シンガポールのAgodaも、元々、アジア中心だったが、今では世界全域。）
アジアのスタートアップ企業が、グローバル展開をする後押しをするという狙いもある。
　創業３年にしては、売上は少なく（東南アジアの給与は低いので、先進国のような売上は期待できないかもしれないが）、現時点で、どれだけ成功しているかは不明である。

GetLinks

創業経緯

創業者のフランス人は、ESCP Europeビジネススクール在学中に、バイオハッキング・オープンサイエンスラボを共同創業。

卒業後、アーンスト＆ヤングでのインターンシップのために上海に移住。
その後、バンコックのLazada（タイのアマゾンと呼ばれる）に転職。そこで、GetLinksのタイ人共同創業者と出会う。
バンコックの自宅でIT技術者中心のパーティーを開催しているうちに、どんどん拡大し、2015年にはキャリアフェア開催。フェイスブックやグーグルなど企業70社、就活者3500人が参加。

これをオンライン化するためにアプリを開発。ユーザ集めのために、オフラインでもキャリアフェアを開催。フェアに参加するにはアプリのダウンロード必須で、参加企業は、オンラインプラットフォームに５件の求人広告を掲載することを条件とした。

2015年、タイのスタートアップ企業として初めて、シリコンバレーのアクセラレーター（500 Startups）に選ばれ、シード資金12.5万ドルを調達。
2016年、同アクセラレーターとサイバーエージェントから50万ドルを調達。

2016年にベトナム、シンガポール、2017年に香港（共同創業者の一人が香港在住）、インドに進出。（インドは続いていないもよう。）

2017年、アジアのVCより資金調達。
2018年、中国のアリババ、タイの王室系財閥、Siam Cement Group、オーストラリアの大手人材サイト、SEEKなどから資金調達。

2018年、IT技術者向け出会い系アプリを開始。招待制で、一般公開はしておらず、今も続けているのかは不明（資金調達後に投資家らに計画変更を求められたか）。

特徴

３D職（developer, digital marketer, designer）のマッチングが中心。
開発者16万人以上、デジタルマーケター100万人近く、デザイナー４万人が登録。
顧客には、テンセント、アリババ、LINE、Agoda（本社シンガポールのホテル予約サイト）、Traveloka（本社インドネシアの旅行予約サイト）など3000社以上。

アプリ開発や、FlutterやDockerなど特殊プログラミング言語など特定のITスキルを備えた人材とのマッチングを得意とする。

AIべースのアルゴリズムでマッチング。
応募者はすべて、コンサルタントが審査し、予め面接などでアセスメントを行う。
（というが、有望応募者、優良企業のみキューレーション。）
応募者の登録（プロフィール作成）は、職種、経験年数、スキルとその年数、電話番号、就労希望国（タイ、シンガポール、香港、ベトナム、マレーシア、インドネシア、台湾から選択）最低希望年収、現在の年収を入力するだけの簡単なものだが、マッチングのためには、職歴や学歴、個人データを入力する必要がある。

英語、タイ語、ベトナム語、中国語に対応。
各ユーザには、コーチがつき、アドバイスを受けることが可能。
マッチングの結果、就職した場合、ユーザ（応募者）には150米ドル進呈。

各都市で、ITスタートアップフェアやワークショップなどのイベントを開催し、集客活動を続けている。

プロフィールには、語学力や各プログラミング言語のテストスコアが表示される。

（出典：www.getlinks.co)