現場のニーズに合ったプログラムが学べるIT技術者養成兼起業家支援ビジネス

2015.07.15

今回もIT技術者養成スクールを取り上げたが、これまで紹介した企業とはビジネスモデルが少し異なる。

当初、起業家支援のインキュベーターとして創業。
Web開発者の養成から始まったが、最近では需要が伸びているデータ科学者の養成を開始。
今では、起業家支援よりもIT技術者の教育業に重きを置いている。

大学のコンピューターサイエンス学科の授業内容は理論的すぎ、同社のコースは、もっと現実のニーズに合ったもので正規の大学のプログラムに取って代わるものと自負。

■Galvanize

URL http://www.galvanize.com/
企業名 Galvanize, Inc.
本社所在地 コロラド州デンバー
フェイスブック https://www.facebook.com/GalvanizeHQ
ツイッター https://twitter.com/galvanize
代表 Jim Deters, Lawrence Mandes, Chris Onan(共同創業者)
創業 2012年
利用者 1,000人以上
従業員数 推定 200人前後
資金調達 2014年、VCから1,800万ドル

創業経緯

<2012年>
起業家向けコミュニティ構築のために創業。
デンバーに3万平方フィートの施設(キャンパス)を設け、ベンチャーキャピタル、起業家向けオフィススペース、起業家養成カリキュラムなどを提供し(インキュベーター的に)スタートアップを支援。

<2013年>
Web開発者養成スクール、Jumpstart Labと提携し、短期のウエブ開発者養成コース、gSchoolを開始。
元々、スタートアップに同社施設に来てもらうために教育部門を開始。

ボルダー(コロラド州)、サンフランシスコにもキャンパス(起業家向け施設)を開設。
Google for Entrepreneursの北米のテクハブ9ヶ所のひとつに。

<2014年>
教育分野に特化したUniversity Venturesを筆頭としたVCらから1,800万ドル調達。

サンフランシスコのキャンパスは7万平方フィートで、教室やイベントスペース、250人収容の講堂も。
サンフランシスコのデータ科学短期養成スクール、Zipfan Academyを買収。
gSchoolのカリキュラムとして提供。

University of New Havenと提携し、GalvanizeUを立ち上げ、サンフランシスコで、正規の(認定を受けた)ビッグデータ修士課程(1年コース)も提供。教室での授業に加え、実際の業界人によるメンタリング。

VC部門、Galvanize Venturesを立ち上げ、スタートアップに資金提供。

<2015年>
300万ドルの借り入れ。

シアトルとフォートコリンズ(コロラド州)にもキャンパスを開設し、現在、3州で6キャンパス運営。

今夏から、グーグルの起業家支援スペース、Google Campus Londonでもデータ科学者養成コース提供予定。(イギリスでは、過去5年でデータ科学者の需要が350%増。)

主な業務は、起業家支援よりもIT技術者養成に移行しており、IT技術教育でのリーダーを目指している。

仕組み

<起業支援>
会員起業家・ベンチャー企業から会費を徴収し、オフィススペース、他の起業家と交流できるカフェや、会議室、イベントスペースを提供。ジムや美容室を備えたキャンパスもあり。

会費はキャンパスによって異なる。一番安いデンバーでは、月299ドル(オープン席)、449ドル(机ひとつ)、1,500ドル(4人用オフィススペース)。一番高いサンフランシスコでは、それぞれ550ドル、750ドル、2,200ドル。20人以上用オフィススペースもあり。

入居審査などはなし。会員は約150社。

シアトルキャンパスのオープン席スペース
シアトルキャンパスのオープン席スペース※GeekWire.com

<ベンチャーキャピタル>
100万ドルのベンチャーキャピタルをGalvanizeの会員企業を含むスタートアップに投資。

<gschool>
すべてのGalvanizeキャンパスで提供。
卒業生を含む業界人によるメンタリング付き。

 ・Web開発者養成コース
 Ruby, Rails, JavaScript, HTML5など

Week 1 – Orientation and Tools
Week 2 – Rails ActionPack
Week 3 – Crud
Week 4 – Crud Continued
Week 5 – Validations and Partials
Week 6 – Authentication
Week 7 – Associations
Week 8 – Associations
Week 9 – Authorization
Week 10 – APIs
Week 11 – Personal Projects and Break
Week 12 – Personal Projects and Break / Javascript Pre-Work
Week 13 – HTML and CSS
Week 14 – Javascript and jQuery
Week 15 – Ember Routes and Templates
Week 16 – Ember Data and Components
Week 17 – Ember w/ Rails
Week 18 – Ember: Associations
Week 19 – Personal Projects
Week 20 – Ember Authentication & Validation
Week 21 – Rantly
Week 22 – Rantly
Week 23 – Rantly Reviews
Week 24 – Graduation and Rantly Reviews

※galvanize.com
*1 Galvanize to open massive, 71,000-square-foot‘tech startup campus’and coding school in Seattle, February 5, 2015

受講料2万ドル。半年コース。MacBook、Galvanize の会費(施設の利用など)込み。
かつ卒業生は、Galvanize起業家コミュニティに紹介。

初心者でも、半年コースを受講後、3ヶ月以内に年収6万ドル以上の職への就職を保証。
就職できない場合、受講料を返金(一定の条件下)。
キャンパス内のスタートアップ以外にも、IBMなどが卒業生を雇用。就職率98%。

 ・データ科学者養成コース。
 受講料1万6,000ドル。3ヶ月コース。

プログラミング経験者、大学レベルの統計・数学知識のある人向け。
Galvanizeによる買収前、70人が卒業。
卒業生の9割以上がサンフランシスコのデータ科学分野で就職。

Week 1 – Exploratory Data Analysis and Software Engineering Best Practices
Week 2 – Statistical Inference, Bayesian Methods, A/B Testing, Multi-Armed Bandit
Week 3 – Regression, Regularization, Gradient Descent
Week 4 – Supervised Machine Learning: Classification, Validation, Ensemble Methods
Week 5 – Clustering, Topic Modeling (NMF, LDA), NLP
Week 6 – Network Analysis, Matrix Factorization, and Time Series
Week 7 – Hadoop, Hive, and MapReduce
Week 8 – Data Visualization with D3.js, Data Products, and Fraud Detection Case Study
Weeks 9-10 – Capstone Projects
Week 12 – Onsite Interviews

※galvanize.com

大学のコンピューターサイエンス学科の授業内容は理論的すぎ、同社のコースは、もっと現実のニーズに合ったもので正規大学コースに取って代わるものと自負。

収入モデル
・会費
・受講料

収入モデル

今後の展望
ニューヨークにキャンパス開設予定。さらなる海外展開。

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有元 美津世プロフィール
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。 社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米27年。 著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』など多数。