全米で増加している民間のプログラマー養成スクールのビジネスモデルを紹介

2015.05.20

今回、プログラマー養成スクールが集まって立ち上げたコンソーシャムのようなReskill USAについて書くつもりだったが、先週、サイトが消えてしまった。多分、うまく行かなかったのだろう。

Reskill USAは、昨年11月に、オンラインプログラマー養成スクール(プラットフォーム)のCodecademy が、他のオンライン・オフラインのプログラマー養成スクールに呼びかけ、補完し合うコースをパッケージにし、1ヵ所で提供するというものだった。

既存の教育機関が現実社会のニーズを満たしていないため、企業が求めている技術訓練を希望者に提供し、人材需給ミスマッチを解消しようというのが狙いだった。

今年、オバマ政権がTech Hire Initiativeを開始したように、アメリカでは国を挙げてプログラマーや開発者などソフトエンジニア不足の解消に取り組んでいる。Reskill USAの立ち上げも、CodecademyのCEOがオバマ大統領と話をしたのがきっかけとなった。

アメリカでは、現在、全米に約40の民間プログラミングスクールがあると言われている。
(最近では、乱立しすぎで、初級者セグメントでは供給過多の声もあり。)

下記では、プログラマー養成スクールが採用しているユニークなビジネスモデルを紹介する。

教育対象が高校生、それ以下に、どんどん低年齢化する傾向にある。
(もちろん、国としては経済のためにも市場のニーズに合った職業訓練が必要だが、民間企業にとっては人材の青田買いかつ囲い込み?)

なお、イギリスでは、G8国で初めて、昨年、義務教育の公式カリキュラム(学習指導要領)にプログラミングが導入され、小学校からプログラミングを教えるという試みが開始された。
日本政府を含め、各国政府が、その進展を見守っている。

■Codecademy

URL www.codecademy.com
企業名 Codecademy
本社所在地 ニューヨーク
facebook https://www.facebook.com/codecademy (いいね 35万以上)
Twitter https://twitter.com/codecademy (フォロワー数 13,000人)
代表 Zach Sims(創業者兼CEO),Ryan Bubinski(共同創業者)
創業 2011年
利用者 190ヵ国に受講者延べ 2,500万人
従業員数 約50万人
売上 0
資金調達 VCから計1,250万ドル

創業経緯

コロンビア大学で政治学を専攻していた創業者は、友人らが卒業しても就職先を見つけるのに苦労しているのを見て、大学での教育が実践的でないと実感し、教育と雇用のギャップを埋めたいと思った。

友人とともに、事業を立ち上げたが失敗。
その後、VC兼起業家養成(Seed Accelerator)のY Combinatorに応募して受け入れられた。
Codecademy 立ち上げのために大学中退。(立ち上げ当時、21歳と22歳)

創業者はプログラミングの経験がなかったため、本を読んで勉強しようとしたが苦戦。一番の学習方法は、実践することであると信じ、そうした学習方法を導入。

2014年、受講者数が最大のロンドンに事務所開設。
英政府が義務教育カリキュラムにプログラミングを加えたことから、英公立学校1,000校以上にも同社のプラットフォームを提供。
エストニア(公立学校カリキュラムにプログラミング導入済み)やブエノスアイレス(市立学校で導入。その後、アルゼンチン全国に展開予定)、政府とも提携し、カスタマイズプログラムを提供予定。
フランスの国境なき図書館やブラジルの財団と協力し、同社プラットフォームのコンテンツをフランス語やポルトガル語に翻訳中。

創業当初、1年ほどしたら、プログラミング以外のコースを提供する予定だったが、プログラミングに対する需要が非常に高いことから、今のところプログラミングに専念。

特徴
特にプログラミング初心者向けにコースを提供。
 ・Web開発
 ・プログラミング言語
  (Ruby on Rails, Python, CSS, HTML, JavaScript iQuery, PHPなど)
 ・API

受講者は、インタラクティブにプロジェクトを実践することで学習。

米国内では、公立学校の放課後プログラムとして利用されている。
(アメリカでは、教育は各州管轄のため、公立学校での公式カリキュラムへの導入は困難。)

教室での授業に使える教材、ワークブック、各生徒の習得度トラッキングツールなども用意。

iPhoneアプリ用教材も提供。

Codecademy(iPhoneアプリ画面)

受講生の大半は社会人だが、中には高校生も。
受講生の3割がアメリカ。海外はイギリスが一番多く200万人。

収入モデル
今のところ、オンラインプラットフォームも教材などもすべて無料で提供。
製品開発に専念したいからという。
カスタマイズコースは有償にする可能性は高いが、雇用主から人材採用に対して料金を徴収するモデルを模索中。

facebookも、長年売上が無かったが大化けしたので、VCらは、それを狙っていると思われる。

■AppAcademy

URL www.appacademy.io
本社所在地 サンフランシスコ
創業 2013年
受講者 延べ約300人

グーグルの検索インデックスチームでも勤務経験のあるソフトエンジニアとヘッジファンドアナリストが創設。

特徴
サンフランシスコとニューヨークで教室ベースの授業提供。
Web開発者を養成し、就職斡旋。

12週間コースで、Ruby、PostgreSQL, Rails, HTML5/CSS3, JavaScript, jQuery, Backbone.js。
応募の際に、コード書きのテストあり。
初心者には事前に教材提供。(が、実際には競争率が高く、初心者が選ばれることは少ないよう。)
合格率5%未満。脱落率5%。

講義は最低限で、大半は実際にコード書き。講師とペアでマンツーマン。

スクール風景
※wired.com

収入モデル
コースは無料で提供し、就職後に初任給の18%を斡旋料として徴収。
就職後、月払いで半年返済。
受講開始前に返済可能な保証金5,000ドル要。
斡旋料を18%以上にする代わりに保証金減額措置もあり。

98%の卒業生がIT職に。(シリコンバレー企業が主。)
元々、有名大学卒など雇用確率の高い応募者を選ぶという声も。

■The Flatiron School

URL flatironschool.com/
本社所在地 ニューヨーク
創業 2012年
受講者 延べ約300人
資金調達 VCより計1,450万ドル

ヘッジファンドにリクルートされたため大学(クリエイティブライティング専攻)を中退した。
創業者(学長)が、ツイッターで高等教育専門のVC(社長)と出会い創設。

仕組み
12週間のフルタイムコース。コース開始前に100時間の基礎学習。
Ruby on Railsの習得がメイン。

従来のプログラミングコースとは違い、クリエイティブライティングのように教授。
問題を小さなステップに分け、組み立てていくことから、折紙、開錠、バルーンアート、ヨガなど同じような構造のクラス受講を奨励。
受講生の8割がライティング、音楽、写真などの分野の出身。1割は大卒未満。

合格率(5%)が低く、プログラミングの「ハーバード」と呼ばれている。
社会人向けだが、2013年に高校と提携し、放課後プログラム(Flatiron Pre-College Academy)
を開始。今年から高校生向けプログラムをボストンなど他の都市に展開。

Reskill USAのメンバーでもあった。

収入モデル
受講料は1万5,000ドルだが、同校の斡旋で就職した場合、4,000ドルを返還。
ニューヨーク市と協力し、女性やマイノリティには奨学金もあり。
就職率は99%。

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有元 美津世プロフィール
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。 社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米27年。 著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』など多数。