在留申請手続のオンライン化スタート

オンライン申請

2018年6月、「未来投資戦略2018」において,「外国人を適正に雇用し,また、外国人雇用状況届出等を履行している所属機関を対象に、外国人本人に代わって手続を行うことを可能とする在留資格手続上のオンライン申請を本年度から開始する」と閣僚決定されました。それに伴い、2019年3月29日から利用申出が開始され、2019年7月25日からオンライン申請の受付が開始されます。オンライン申請が始まるイコール、出入国在留管理局にわざわざ赴く必要がなくなる、今よりも簡易的な手続きになる、外部の専門家に依頼する費用が抑えられる等々、申請人本人や所属機関の職員の方々はプラスのイメージを持たれていると思います。もちろん現在よりも工数や費用を抑えられる等のプラス面は多くありますが、一方で在留資格の種類、各種手続、所属機関のカテゴリー等により対象の適否が存在します。まずは基本的な制度の内容を理解し、自社で利用の可否を判断する必要があると思います。以下、法務省のホームページから重要と思われるポイントをまとめてみました。

〇利用可能な対象者
・外国人の所属機関の職員
・所属機関から依頼を受け、弁護士会又は行政書士会を経由してその所在地を管轄する地方出入国在留管理官署に申請等取次者として届出済みの弁護士又は行政書士

所属機関として利用申出をおこなうことができず、職員個人が利用申出をおこない承認されます。承認された職員以外の職員が利用する場合は、追加利用申出をおこない承認される必要があります。
 
〇利用可能な申請種別
① 在留期間更新許可申請
② 再入国許可申請 (①と同時申請に限る)
③ 資格外活動許可申請 (①と同時申請に限る)

海外在住者を採用した際に利用する在留資格認定証明書交付申請や留学生の新卒採用時に利用される在留資格変更許可申請は現段階で含まれていません。

〇利用可能な在留資格(対象範囲)
入管法別表第一の在留資格が対象
・「外交」「特定技能」「短期滞在」は制度開始時点では除外
・「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」対象外

多くの在留資格が対象範囲に含まれていますが、在留資格の種類によっては所属機関のカテゴリー区分等により対象の適否が存在します。例として、企業が良く利用される在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」は、カテゴリー1及びカテゴリー2が対象となり、カテゴリー3及びカテゴリー4は対象外となります。

上記はオンラインでの申請手続に関する利用案内のほんの一部です。日々実務に携わっている立場から、制度上、企業にとっての一番のメリットは、外国人社員本人が業務中に窓口に赴く必要がなくなる点だと考えます。
東京出入国在留管理局に赴き申請をすると、申請受付完了まで数時間を費やし、場合によっては一日がかりの時間と労力が必要となります。一人の外国人社員が一年に一度業務に穴を開けるだけであれば、それほど大きな問題にはなりませんが、多くの外国人社員を抱える企業にとっては、一人一人の申請の積み重ねが、業務遂行の重大な妨げになる可能性があります。その点、オンラインでの申請手続は24時間利用可能でオフィスでの対応が可能になりますので、企業にとって大きなメリットになるのは間違いないと思われます。
現段階では、利用可能な申請種別、在留資格の対象範囲等が一部に限定され、新規及び追加利用申出や定期報告等の手間はどうしてもかかってしまいますが、順調に制度が運用され始めると、利用可能な申請種別や在留資格の対象範囲も拡大されるはずです。2019年3月29日から利用申出受付は開始しています。利用案内等を確認し、同制度の必要の可否、対象の適否等を検討してみてはいかがでしょうか。


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ACROSEEDグループプロフィール
日本における外国人の法務サービスに特化したコンサルタント会社です。1986年の行政書士事務所の開業以来、外国会社の日本進出支援、外国人のビザ申請、外国人雇用のコンサルティングなどを25年以上にわたり専門に扱ってまいりました。[http://www.acroseed.co.jp/]  ・メール:contact@acroseed.co.jp ・電話番号:03-6905-6370