今回紹介するのは、プログラマーを(外部で)養成し、企業に斡旋する非営利団体である。
日本にも進出しているモバイル決済サービスのSquareの創業者が設立した。同団体が提携しているオンラインITスクールも、簡単に紹介する。
■LaunchCode
URL | www.launchcode.org |
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団体名 | LaunchCode |
本社所在地 | ミズーリ州セントルイス |
www.facebook.com/launchcodestl/info (いいね 2,169) | |
twitter.com/launch_code (フォロワー数 3,477人) | |
代表 | Brendan Lind(共同創業者兼 Executive Director) Jim McKelvey(共同創業者) |
創業 | 2013年9月 |
資金調達 | The Knight Foundationより、125万ドルの助成金 (元大手新聞社オーナーが設立した財団) |
■創業経緯
モバイル決済サービスのSquareの共同創業者であるJim McKelveyが、故郷のセントルイスに戻ったところ、IT人材不足を痛感。人材不足のために別の州や地域に移らなければならない企業もある一方、何年も失業していたり、低賃金職から抜けられない人たちが何百人といる。
米労働省では、2020年までに100万のプログラマー職が埋められないと予測している。そうした雇用市場のギャップを埋めようと誕生したのがLaunchCodeである。
プログラマー職は、通常、応募して面接にたどり着くだけでも、大卒で3~5年の職歴が求められる。LaunchCodeでは、そうした学歴や職歴がなくても、プログラマーとして働ける人は大勢いる(今まで何をしてきたかよりも、今後何ができるかを重視)という考えから、そうした求職者らを見習いとして企業に送り込み、プログラマーとして育てるとともに就職を斡旋。
企業への働きかけで、人事部では落とすような人を見習いとして雇ってもらう。
2014年に、マイアミ拠点の財団から助成金125万ドルを得て、マイアミにも進出。
2015年、ホワイトハウスが開始した全米21都市でのIT職採用支援キャンペーン、TechHire Initiativeにおける人材ギャップを埋める全米モデルプログラムとしてオバマ大統領が称賛。
■仕組み
プログラマーを提携企業に送り、経験豊富なプログラマーがメンターとなり有償で研修。最終的には、その企業で社員(フルタイムのみ)として採用してもらう。
提携企業はセントルイスでは300社以上、マイアミで100社以上。
見習い期間は1~5ヵ月で、平均3ヵ月。見習い中の時給は平均15ドル。
<応募>
大きくプログラミングコースとBI(ビジネスインテリジェンス)コースに分かれ、下記の応募条件を満たした過去のプロジェクトを示せること。
プログラミング
・C / C++,Java, Java Script, C#, Python, Rubyなどの言語か、Haskell, Scala, F#, Clojureなど関数型言語のうち一つの知識または経験。
・基本的な制御構造、ループ、変数、関数などプログラム要素の理解。
BI
・クエリまたはDB言語(SQL, MySQL, Mongo DBなど)の知識。
・スクリプト言語(python, rなど)の一つに精通、基本的プログラミングの概念。
・数学や統計の素質。ビジネス分析への興味。
上記2コース以外にも、ITプロジェクト管理、QA,システム管理などの就職斡旋もあり。
応募条件を満たしていれば、オンラインで応募し、プログラミングの簡単なテストを2本送信。
<養成>
応募条件に満たない希望者には、提携している養成機関を紹介。
EdXやPluralSightなどのオンラインスクールと提携。PluralSightでは、1年、無料受講可。
マイアミでは、州立短大の(上記財団からの助成金で設立された)起業家支援センターで、4ヵ月のプログラミングコースを無料で受講可。
<人材斡旋>
参加企業は、必要な人材のJob Descriptionをネットで入力。
条件を満たす人材がいれば、すぐに紹介。いなければ、企業のニーズを念頭に面接。
気に入った人材が見つかれば、企業による面接後、すぐに採用または見習い。
採用時には、寄付を依頼。
■特徴
通常の教育機関・企業では採用は企業任せだが、LaunchCodeでは就職先を斡旋。
独自で養成機関になるつもりはなく、養成機関と採用企業との橋渡し役に徹する。
■実績
・セントルイスでは、1年ちょっとで140人の就職を斡旋。
・見習い者の9割が、派遣企業から社員として採用オファー。
・10年間失業し、障害年金を受給していた服役軍人が自活できるようになった例も。
・平均年収は5万ドルで、LaunchCode利用以前の3倍。
・利用者の年齢は18~58歳、42%が失業中だった。
・18%がコンピューター科学専攻の短大卒以上。
・50%が別の分野専攻の短大卒以上。
・42%が短大卒未満。
■収入モデル
・斡旋した人材が社員として雇用された際に、企業から寄付金。
・一般からの寄付は、一回限り、または月極。
■今後の展望
2015年内に数市に進出し、ゆくゆくは全米に広げる予定。
■PluralSight
URL | www.pluralsight.com |
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団体名 | PluralSight LLC |
本社所在地 | ユタ州 Farmignton イギリス、インドにも事務所あり |
www.facebook.com/launchcodestl/info (いいね 63万人) | |
twitter.com/pluralsight (フォロワー数 20万人) | |
代表 | Aaron Skonnard(共同経営者兼CEO) |
創業 | 2014年 |
利用者 | 150ヵ国以上75万人、マイクロソフトやデルなど6,000社以上 |
従業員数 | 約150人 |
売上 | 2014年 推定 8,500万ドル(2013年 3,800万ドル) |
資金調達 | VCより、2013年に2,750万ドル、2014年に1億3,500万ドル |
■創業経緯
2004年、教室ベースのプログラマー向け教育サービスとして開始。
2008年にオンライン化し、4,000のコースを提供するオンラインIT教育サービスに成長。
ここ1年半でオンラインスクールを6社買収。同業界の大手に。
2015年、オンラインプログラミングスクールのCodeSchoolを3,600万ドルで買収。
CodeSchoolは、動画を使ってゲーム形式で楽しく教授。受講者は100万人以上。
CodeSchoolで学んだ後、より高度な勉強がしたい人をPluralSightに誘導予定。
■料金
・個人向けは月29ドル~
・企業向けはユーザ一人あたり年299ドル~
LaunchCode利用者には、一年無料で提供。
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