“孤独”な管理職に求められる役割とは?

皆さん、こんにちは。
ESコンサルタントの金野です。

最近、
「目の前の仕事に追われて”明日の仕事”ができない」
「部下がなかなか育たない」
「昇格してから仕事の仕方が分からなくなった」
「忙しすぎて元気が出ない」
など、本当にさまざまな”管理職の悩み”を伺うようになりました。
私自身も管理職として仕事をしていますので、それらの悩みには
とても共感するところが多いのですが、
中には、そういった仕事上の悩みに加え、家族のことや自分の体の
ことなど他の悩みも重なってすっかり元気をなくしている方も多く、
少しでも解決の糸口を見つけられないものかと思考をめぐらすことも
多々あります。

そんな中、先日、管理職に関する調査の中でとても興味深い結果を目にしました。

この調査は、管理職としての役割や実践度合い、意欲、求めたい支援等について、
現役の管理職計309名(部長・課長・係長クラス)に回答してもらったものです
(「管理職自身が考えるマネジメントの現状」(労務行政研究所))。

この中では、「管理職として与えられた役割(期待、使命)」を
○経営方針の伝達・浸透
○業績向上の責任者
○変革のリーダー
○人材育成の責任者
○職場の風土形成の責任者
という5分野にまとめているのですが、
それらの役割の実践度合いについて問いかけたところ、
どのポジションの場合でも、「人材育成の責任者」としての実践度合いが低く、
さらに、「そもそもそれは自分の役割ではない」と捉えている割合が最も高い、
という結果になったのです。

「人材育成が”自分の役割”ではないと思っている管理職がこんなに!?」

私は驚きと共に疑問に感じ、さらに結果を読み進めてみましたが、
・人事考課を通じたメンバー各人の強み・弱みの把握
・各人の成長を意識した目標設定・業務配分
・タイムリーな指導
・各人の育成ポイントの上位者との共有
・各人の動機づけ
といった人材育成項目に関し、どのポジションにおいても実践度合いが低く、
かつ、「それらが自分の役割ではない」と捉えている度合いが高い、
ということのようです。

皆さんはどのように感じますか?
皆さんの会社の管理職の方たちは、いかがでしょうか?

「自分が所属している組織の目標や方向性を理解した上で、自分の役割を自覚して
仕事に取り組めるかどうか」は、モチベーションや自律性にも大きく影響してきます。
この調査でも掲げられているように、管理職としての役割には、
業績向上のための行動と、組織のモラル・モチベーションの維持向上のための行動
という二側面があり、それらをバランスよく発揮していくと良いと言われていますが、
そのベースには、自社の理念に共感していることと、「人を育てることを通して自分が
成長して行く」ことの喜びを実感する、ということが必要だと思います。

昨今、働く価値観の多様化や膨大な情報・指示命令系統の複雑化などに伴い、
管理職に求められるマネジメントスキルというものは、非常に高度になってきていると
思います。
管理職は、アタマで考え知恵を絞って課題解決をしなければならない面と、
ココロで感じ対話を促しながら意義や意味を伝えていかねばならない面
という両面から仕事に取り組んでいかねばなりません。

自分が上司から受けた指導方法が、そのまま自分の部下にも通用するとは
限らない、という悩みに直面している管理職もいるようです。

組織が成長し、そこで働く社員一人ひとりも成長して行く中で、それを率いる管理職
は、5年・10年・15年後に向けてどのような未来を描いていけば良いのか、そのために
どのようなキャリアステージを上がっていけばいいのか、
管理職本人が”今”の役割だけでなく、5年後・10年後・15年後の未来の組織の
中での役割を考え、使命感をもって取り組んでいく必要があると思います。

「”元気”な管理職の存在なくして組織の成長はない!」
一度、自社の管理職と対話してみてはいかがでしょうか。
 

金野 美香:日本ES開発協会プロフィール
金野美香(きんの みか)日本ES開発協会 専務理事 | 福島大学行政社会学部卒業後、有限会社人事・労務にて、日本初のES(従業員満足)コンサルタントとして、企業をはじめ、大学、商工団体で講師を務めるなど幅広く活動する。“会社と社員の懸け橋”という信念のもと、独自に編み出したES向上組織開発プログラム「クレボリューション」や、組織活性度診断「人財士」を活用した社内プロジェクトの立ち上げに取り組む。[http://www.jinji-roumu.com/] ・Tel:03-5827-8217 ・Mail:info@jinji-roumu.com