■ 創業経緯
クレディスイスのアナリストをしながら、創業者はナイトクラブのオンライン予約システム（OpenTableのナイトクラブ版）、Nightloopを構築。偶然、ニューヨークの有名ナイトクラブ経営者らと知り合い、彼らはNightloopの顧客として最適だったが、うまく行かず。当時、顧客（ナイトクラブ）のニーズをまったく把握していなかったのが原因。

その後、2年間、ナイトクラブで週に10時間ほどアルバイトをしながら、そのニーズを把握。有名クラブでは有名人でも入口で「一見さんお断り」の扱いを受けることが多く、初来店客でもリピーターの可能性を見出し、パーソナライズサービスを提供するかが鍵だと学ぶ。

そこで、ドアマンや給仕者が来店客の名前を入力すると、その人のプロフィールが閲覧できるシステムを思いつく。ナイトクラブの顧客ではなく、ナイトクラブ経営者のニーズに焦点。

2015年にレストラン向けにもサービス開始。
　

■ 仕組み
ナイトクラブおよびレストラン向けCustomer Relationship Managementシステム。
来店客の情報を集め、サービスをパーソナライズすることによってリピーターに変え、売上アップを狙う。

店頭機能、CRM、POS統合（30以上の主要POSシステムに統合可）、アナリティックス、オープンAPIプラットフォーム一式を提供。

各来店客のプロフィールはPOSにリンクされており、来店客の注文状況がリアルタイムで更新される。来店客データと消費データを統合することで、定量的かつ定質的に各来店客を理解。

顧客の写真、郵便番号、生年月日、食物アレルギー、注文履歴、消費額のほか、予約キャンセル、すっぽかし、遅刻の回数もトラッキング。
　

■ 特徴
当初は、ソーシャルメディアから来店客の電話番号やメルアド、写真、肩書などを収集していたが、リンクトインやフェイスブックがAPIを制限したため、今では給仕者やマネジャーなどが来店客に関する情報を入力し（給仕者に対する態度も記録）、アルゴリズムを利用している。

初めての来店客でも、プロフィールによっては（得意客になる可能性が高ければ）、神様扱い。
たとえば、ニューヨークのある有名ナイトクラブのウォッカ注文履歴を分析したところ、過去2年、来店客の50％がGrey Goose、25％がBelvedere, 5％がKetel Oneを注文したが、一番の得意客らはGrey GooseとともにDom Perignon Luminousを注文することが判明。この組み合わせを注文する来店客は、初めてでも得意客になる確率が高いので、無料で提供すべきという結論に達した。

また、店が混んでいる日には住所や郵便番号から近所の住人を優先したり、デザートを無料奉仕するといったこたもできる。

個人情報を収集されるのは来店客には抵抗があるのではないか、との懸念があるが、それによってVIP扱いされるので、抵抗は少ないらしい。

ニューヨークの有名クラブが利用。
来店客のプロフィールは姉妹店全店で共有可能。
　

（出典：.www.bloomberg.com）

各来店客のリアルタイムの消費額
（出典：.www.sevenrooms.com）