私のように新興国(東南アジア)に滞在していると、日本やアメリカでしか入手できないものがほしいと思うことが度々ある。しかし、送料を考えると断念せざるを得ない(日本からのEMS便は安いが、アメリカからは、その数倍の送料がかかる。)また、商品到着後、税関で止められることも珍しくない。
新興国では日本やアメリカの最新製品、流行品を入手したいという人は多く、たとえば東南アジアでは日本の化粧品やファッション品が非常に人気がある。そうした人のために、海外旅行者に現地で商品を購入してもらうえるよう旅行者と依頼者をマッチングし、エスクローサービスを提供するスタートアップが世界各地に何社かある。
日本にも、企業向け国際ハンドキャリーサービスがあるが、これは、その個人版といえる。旅行者のスーツケースの余ったスペースをシェアするという意味で、シェアリングエコノミービジネスでもあり、ソーシャルショッピングとも呼ばれる。
今回は、そうしたビジネスを展開しているシンガポールのスタートアップとアメリカのスタートアップを紹介する。
【Airfrov】
URL | http://wwww.airfrov.com |
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企業名 | HM2B Pte Ltd. |
本社所在地 | シンガポール |
創業 | 2015年 |
代表 | Cai Li(CEO兼共同創業者) Robi Ng(CTO兼共同創業者) |
フェイスブック | https://www.facebook.com/airfrov |
ツイッター | https://twitter.com/airfrov |
リンクトイン | https://www.linkedin.com/company/airfrov-hm2b-pte-ltd |
YouTube | https://www.youtube.com/watch?v=mm-Rf_BZOhk(仕組み説明) |
利用者数 | アクティブユーザ数9万 5000 人以上 |
従業員数 | 10 人以下 |
資金調達 | 2016 年 East Ventures よりシード資金 |
■ 創業経緯
前職で海外出張の多かった共同創業者が、出張の度に彼女から化粧品やバッグなどを買ってくることを頼まれ、ビジネスモデルを思いつく。インドネシア生まれの短大の同級生と創業。
それぞれ SGD1万ずつを出資して立ち上げ。Airfrov は”travel by air, to and fro, very frequently”の略。
2016 年 12 月、インドネシアでもサービス開始。
■ 仕組み
旅行者は渡航国、引き渡し国と帰国日を掲載。
海外からの商品がほしい依頼者は国と商品(写真付き)、手数料込みの支払総額を掲載、受取方法を選択(Airfrov 事務所での受取または有料配送)。
金額に合意した時点で依頼者は Airfrov に全額支払い。
代金は、旅行者が商品を Airfrov の事務所に届けた時点で旅行者に支払われる(つまり、Airfrov がエスクローサービスを提供)。
旅行者は帰国後7日以内に Airfrov に商品を届ける。7日以内に商品が届けられない場合、依頼者はオファーを取り消し可能で、手数料を含む全額が返金される。7日以内に依頼者が商品を受け取りに来ない場合、代金は旅行者に支払われる。依頼者は入金した時点で取り消し不可。購入前であれば、旅行者に直接連絡て合意が得られれ
ば取り消し可能。旅行者は指定の物品が見つからない、品切れなどの場合には取り消すことができる。
依頼者も旅行者も相互にレビューを掲載。5つ星を複数回得ると、旅行者は VerifiedTraveller となる。Verified Traveller になると最高 50 件の依頼を同時に請け負うことができ(それまでは 10 件まで)、Recommendations(推薦品)を掲載することができる。また、20件以上の依頼を請け負った Verified Traveller には、Airfrov が無料で商品回収を行う。100 以上のレビューかつ 4.5 以上の評価を得た Verified Traveller は Super Traveller となり、同時に請け負う依頼件数に制限はなくなる。
たとえば、「白い恋人 24 枚入り 1500 円」に対し SGD27 のオファー(Airfrov での相場)で、手数料は 500 円ほど。複数の依頼者の物品購入を請け負わないと割に合わない。SuperTraveller になると(日本人でもいる)、一度に 160~200 の依頼に答える人もおり、そうすると旅費が浮くくらいの手数料が入る。(このレベルになるとプロの運び屋?)
購入者は特定の旅行者をフォローしたり、推薦したりできる。旅行者は珍しい品や特売品をシェアすることもでき、トレンド発掘機能も果たす。ブログでは、たとえば「日本では桜の季節となりましたが、こんな桜商品が出ています」のように新商品などを紹介しており、ネットショップの側面もある。
調達依頼先で一番多いのが日本、次いで韓国。日本からの依頼品は、靴、バッグ、トイレタリー、食品(日本にしかない味のカップヌードル、東京ばな奈等)など。
医薬品など輸入禁止品の取り扱いは禁止。シンガポールからの商品を希望する依頼者(在外シンガポール人など)は、引き渡し場所を旅行者と相談して決め、双方が取引完結を報告した時点で Airfrov が旅行者に代金を支払う。
旅行者(Super Traveller)のプロフィール
レビュー数、過去の旅行履歴、フォロワー数、推薦品などが表示される。
(出典:www.airfrov.com)
■ 収入モデル
手数料: SGD2+依頼者と旅行者が合意した金額の7%
■ 今後の展望
2016 年、シード資金でインドネシア進出。インドネシアには 2014 年に立ち上がった同様のサービス Bistip があるが、Airfrov の方が仕組みがしっかりしており、コミュニティ性も高いので、Airfrov がシェアを奪う可能性が高い。
【Grabr】
URL | https://grabr.io/en |
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企業名 | Grabr Inc. |
本社所在地 | サンフランシスコ(開発はモスクワ) |
創業 | 2015年 |
代表 | Daria Rebenock(CEO兼共同創業者) Artem Fedyaev(会長兼共同創業者) |
フェイスブック | https://www.facebook.com/grabrinc |
ツイッター | https://twitter.com/grabrinc |
リンクトイン | https://www.linkedin.com/company/grabr-io |
資金調達 | 2015 年エンジェルより 100 万ドル 2016 年ロシア人エンジェルより 250 万ドル |
■ 仕組み
Airfrov と異なる点は、
・依頼者は代金+関税+希望報酬額を表示。
・依頼者がシンガポールとインドネシアに集中する Airfrov と違い、依頼者が多数の国にわたる(多いのは南米、ロシア、ヨーロッパ)。
引き渡し先の国の持ち込み禁止品や関税を調べるのは旅行者の責任。依頼者の国が多岐にわたるので、国によっては旅行者は複数の依頼を受けにくく、まとまっ
た報酬を受け取るのが難しい。
・商品引き渡し場所と日時は依頼者と旅行者が相談して決める。トラブルが生じたときのために、その相談は記録が残るよう Grabr のメッセンジャーを使って行うことになっている。
・英語以外にロシア語、スペイン語、ポルトガル語対応。
■ 収入モデル
手数料: 依頼者と旅行者が合意した金額の7%
■ 今後の展望
今のところ、依頼者が7割、旅行者が3割ほどで、半年以上も成立しない依頼が多々あり、旅行者増やしに力を入れているが、引き渡し地が集中する Airfrov のビジネスモデルの方が優位。
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