外国人採用に積極的な企業から、外国人学生のインターンシップに関する問い合わせが増加傾向にあります。
入管法上では特定活動告示9号において「インターンシップ」が規定されていますが、全てのインターンシップがここに含まれる分けではありません。インターンシップで予定されている内容や状況によって必要となるVISA・在留資格が異なります。
今回はインターンシップを計画するに当たり、どの手続きが必要となるのかの考え方について場合分けをしてご紹介いたします。はじめに「国内で既に通学中の大学生」を対象とする場合と「海外に居る大学生の招へい」をする場合を紹介します。
●「国内で既に通学中の大学生」を対象とする場合
「留学」を所持する大学生の場合、資格外活動許可 (週28時間以内の包括許可)を取得していれば参加可能です。また永住者等の就労制限の無い方であれば、特に在留資格に関する手続きを経ることなく参加することが可能です。
●「海外に居る大学生の招へい」をする場合
こちらは1:無報酬の場合と、2:報酬の発生する場合との大きく2つに分けて考えることができます。
1:無報酬の場合
「無報酬」とは職業体験に対する対価としての報酬を支払わないインターンシップのことを指します。この場合でも交通費・滞在費を支払う事は可能とされています。
無報酬のインターンシップは滞在予定期間が3ヶ月を超えるか否かで、必要な手続きが更に2つに分かれます。
(a)3ヶ月以内
滞在期間が3ヶ月以であれば「短期滞在」を利用することが出来ます。こちらは観光や商用で用いられるVISAと同様です。そのため、アメリカ国籍等の査証免除国の方であれば、特に手続きを経ることもなく入国しインターンシップに参加することが可能です。
(b)3ヶ月を超える場合
在留資格「文化活動」を申請する必要があります。こちらは大学生が教育の一環として無報酬で行われるインターンシップにおいて利用されます。
単位が発生するという点で後述する「特定活動」のインターンシップと共通する点がありますが、こちらは報酬発生の有無という点で異なります。入国管理局ではこの日本国内での活動に対する報酬発生の有無で厳しく区別しているので注意が必要です。
2:報酬の発生する場合
職業体験に対する対価としての報酬が支払われるインターンシップを指します。こちらも大きく2つに分けることができ、大学生の教育の一環として行われる場合なのか、あるいは夏季休暇などを利用して行われる場合なのかにより必要な手続きが異なります。
(a)教育の一環として行われる場合
インターンシップに参加することで、本国の大学において単位の取得や卒業要件を満たすような場合を指します。在留資格は「特定活動(告示9号)」とされており、入管法上で想定されていた最も基本的な「インターンシップ」がこれにあたります。
(b)夏季休暇などを利用して行われる場合
こちらは学校の長期休暇を利用してインターンシップに参加する場合です。在留資格は「特定活動(告示9号)」となり先述の物と同じですが、こちらは「サマージョブ」と呼ばれます。「インターンシップ」と異なり長期休暇中に参加するインターンシップである旨を立証する資料としてスクールカレンダーなどの提出を求められる点が特徴的です。
以上、複数のパターンをご紹介いたしましたが、最もご相談が多いのは「報酬の発生する場合」の内の「夏季休暇などを利用して行われる場合」です(2-(b))。
一言にインターンシップといってもどの手続きを行う必要があるのかはそのインターンシップの内容によって異なり、其れに伴い必要な提出書類も変わります。売り手市場といわれる就職活動の現場ですが、優秀な海外の人材を確保する手段としてもインターンシップは有力な方法のひとつだと考えられています。スムーズに手続きを進めるためにも、計画されているインターンシップがどれに該当するのかを見極め、その上で適切な手続きと必要な情報を収集することが重要です。
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