高度専門職の要件
学歴、職歴や年収等の項目ごとにポイントを付け、その合計が70点以上に達した人が「高度外国人材」として認められることになります。高度専門職を申請する場合、70点以上保持していることを疎明資料を用いて証明し、入管に認められることが必要となります。疎明資料の例としては、学歴:卒業証明書、職歴:退職証明書や在籍証明書、日本語能力試験:合格証明書等が挙げられます。この中で一番時間と手間がかかりやすいのが退職証明書です。日本ではすぐに発行していただけることが多いですが、海外では退職証明書というものは一般的な書類ではなく、在留資格申請のために新たに用意していただくことが多いです。数日で会社から発行していただけることもあれば、会社と連絡がつかないとのことで、退職証明書を用意できないこともあります。この場合、会社から発行されることが一つの要件となりますので、実際に就労していたとしても、職歴としてのポイントを換算することができません。
高度専門職を取得するメリット
高度専門職を取得した場合、様々な優遇措置を受けることができます。よくご相談を頂戴するのが、在留期間が1年で毎年更新申請をするのが大変である、といった旨です。この場合、高度専門職を取得すると、在留期間が一律に5年付与されますので、高度専門職を一つの選択肢としておすすめすることがございます。また、一定の要件を満たせば、海外から両親をお子様の扶養のために日本に呼ぶことや、家事使用人を雇うこともできます。
高度専門職申請のご相談時によくご質問をいただく事項
1.パートタイム・アルバイト勤務でも職歴として換算されるのか。
フルタイム勤務のみ職歴として換算されます。
2.職務内容に関連性がない。
職歴をポイントに換算する際には、高度専門職を申請する会社での職務内容と、これまでの会社での職務内容に関連性があることが必要となります。例として、エンジニアとして内定を出している場合、これまでのエンジニアとしての就労経験が職歴として換算されます。そのため、10年職歴がある中でそのうちの2年を英語講師として就労していた場合、その2年は職歴として換算されず、8年での職歴がポイントに反映されます。
3.退職証明書は申請人の自筆でもよいのか。
先ほど申し上げた通り、退職証明書は会社から発行される必要がございます。決まったフォーマットは定められておりませんが、下記の旨が記された文書に会社名・所在地・職名・氏名に社判(もしくは担当者の署名)が必要となります。
①申請人の氏名・生年月日
②所属部署
③入退社日
④職務上の地位
⑤職務内容
4.卒業見込みでも学位をポイントに加算することができるのか。
卒業見込み証明書を提出したとしても、見込みでの学位はポイントに反映されません。
5.会社側にデメリットがあるのか。
高度専門職を申請する場合、技術・人文知識・国際業務の申請と比べて、会社側に用意していただく書類(在籍証明書や収入見込み証明書等)が増えることが多いですが、高度専門職をお持ちの方を雇用したからといって会社側にマイナスになることはないと考えます。しかし、高度専門職は会社ごとに許可されるものですので、以前の会社で高度専門職を取得していた場合は、転職前に高度専門職の変更許可を得ることが望ましいです。
6.永住申請のために技術・人文知識・国際業務から高度専門職へ変更申請したい。
70点以上を3年以上、又は80点以上を1年以上継続して保持していると証明できる場合は、必ずしも高度専門職に変更する必要はございません。しかし、永住申請の要件として3年以上の在留期間を保持している必要がございますので、1年の在留期間をお持ちの場合、一度高度専門職に変更してから永住申請を進めることもございます。
実際にあったケース
インドの女性の方から技術・人文知識・国際業務から高度専門職に変更申請をしたいとご依頼を頂戴しました。ポイントの疎明資料を用意していただいたところ、結婚に伴い氏名を変更したため、結婚前に取得した証明書に関して、現在の名前と異なることが判明しました。日本の戸籍謄本のような、1枚の書類で旧姓及び新姓と氏名変更の理由が分かる文書をインドでは用意できないということから、追加で結婚前の氏名を証明する資料として、結婚前のパスポートのコピーと、夫の氏名が記載されている結婚証明書を提出することによって、結婚前の氏名が異なる疎明資料でもポイントが加算され、無事に許可となりました。
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