「技術・人文知識・国際業務」を有する方の中途採用や職務変更について

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今年の4月、入管法の改正により、在留資格「技術・人文知識・国際業務」ができました。「技術」と「人文知識・国際業務」が一本化されたことで、在留資格の申請が少し楽になったかもしれませんが、それとともに「技術・人文知識・国際業務」という名称そのものが企業の人事に困惑が生じることも予想されます。

 以前、「技術」と「人文知識・国際業務」が別々となっていたとき、外国人の方は転職の際、その方が所持する在留カードだけで大学や大学院の専攻は文系なのか理系なのかは、ほとんどすぐに見分けられました。しかし、この二つの在留資格が「技術・人文知識・国際業務」となった後、在留カードを見ただけでは、その方の前職は“技術開発”関係なのか、外国とのやり取りがある“海外業務”なのかが分からなくなりました。本人が口述した前職の職務内容の真偽を疑ってもおかしくない話となり、以前よりも気を付けながら採用手続きをしなければならないこととなったのではないか思います。

一番万全な方法としては、ご本人様より入管に「就労資格証明書」の交付申請をし、許可された後、「就労資格証明書」の写しを提出してもらうことをおすすめします。「就労資格証明書」の交付申請は外国人の方にとっては義務ではありませんが、万が一在留資格を更新する際、従事していた職務内容は現に有する在留資格に該当しないという理由で不許可となった場合、企業にとってもヒトという経営資源の損失になるのではないかと思います。「就労資格証明書」の取得により、在留資格を更新申請する際、許可の可能性が高くなり、審査時間の短縮などスムーズになります。(ご参考まで、「就労資格証明書」の見本を提示します。)


就労資格証明書(サンプル)

また、同じ会社の中での職務変更でも「就労資格証明書」の交付申請ができます。実際に弊社がお手伝いしていたお客様の中の下記2つのケースを紹介いたします。

1. 「翻訳・通訳」「海外業務」という職務内容でB社に就職し、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得した方がB社にて働きつつ、プログラミングを学習していました。その後“出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件”で定められた“技術”に該当する資格の一つ「プロダクションエンジニア試験」に合格し、B社の業務命令により「情報開発」の仕事をすることとなりました。同じ会社での勤務とはいえ、在留資格の取得時に入管に申請した職務内容、そして提出した学位証書などは「情報開発」と全く関係ないため、自分自身にも会社にも安心させるために「就労資格証明書」を申請しました。

2. エンジニアの学位を有し、L社にて10数年間「情報開発」の仕事をしていた方が同社グループ内の異動で母語を使う「海外連絡業務」の仕事をすることとなりました。在留資格が「技術・人文知識・国際業務」とはいえ、いきなり理系の仕事から文系の仕事に変えることを入管は認めてくれるか、今後在留資格の更新に影響がないかと心配し、「就労資格証明書」を申請しました。ここでご注意いただきたいのですが、大学以上卒業であれば、理系文系を問わず、母語を使う「翻訳・通訳」「海外業務」の職務は日本にて就労できる資格の申請が可能だと弊社が直接入管に教示いただきました。ただし、「販売・営業」「貿易業務」などの職務なら、一見「翻訳・通訳」「海外業務」と大して変わらないと思うかもしれませんが、入管の審査上はやはり本人の専門性や同職務の経験歴などを重要視しているので、一般に10年以上の経験が必要となります。

 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を3ヶ月以上有している場合、同企業での職務変更だけでなく、同職務の転勤、職務の変更に伴う転勤でも「就労資格証明書」の交付申請が可能です。さらに会社の就業規則に違反しない上で、兼職のためにも申請が可能ですので、活用していただければと思います。

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ACROSEEDグループプロフィール
日本における外国人の法務サービスに特化したコンサルタント会社です。1986年の行政書士事務所の開業以来、外国会社の日本進出支援、外国人のビザ申請、外国人雇用のコンサルティングなどを25年以上にわたり専門に扱ってまいりました。[http://www.acroseed.co.jp/]  ・メール:contact@acroseed.co.jp ・電話番号:03-6905-6370