これまで外国籍社員の雇用にあたり、各在留資格の申請、管理にかかる手続きや注意点をお話してきましたが、今回は在留資格(就労資格)に係る活動の範囲について説明させていただきます。外国籍社員の雇用が増え続ける昨今、社員それぞれの状況に合わせて対応が求められる中、人事担当者様のお役に立てればと思います。
外国人の在留上の原則のひとつとして、日本に在留する外国人は在留資格をもって在留するものとされ、さらに入管法の「本邦において行うことができる活動」として規定される在留資格を有する外国人が、事業を運営しまたは報酬を受ける活動を行うに当たっては以下のような制約があります。
日本で在留資格(就労資格)をもって在留する外国人は、その在留資格に定められた活動しかすることができないと定められており、その在留資格に該当しない収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動は認められていません。このような資格外の活動に従事しようとする場合は、「資格外活動の許可」を受けなければなりません。また、現に有する在留資格に該当する活動をやめて、新たに別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合には、「在留資格の変更許可」を受けなければなりません。
「資格外活動の許可」とは、在留資格に認められている活動以外の活動で、臨時的または副次的に収益活動を行うことについて許可制度を定めることによって、あらかじめ資格外活動の許可を受けた外国人が在留資格の活動以外の許可された収益活動を行うことを認めています。そのため、「資格外活動の許可」を得ずに在留資格外の就労をすると不法就労となります。
良くある実例としては、語学学校の英語講師として在留資格「技術・人文知識・国際業務」を有する外国人が、空いた時間を利用して高等学校や大学で英語を教える活動は資格外活動となり、在留資格「芸術」を有する外国人が、報酬を受けてコンサートやライブで演奏する活動は資格外活動となり、「資格外活動の許可」が必要となります。
「資格外活動の許可」が認められると、活動期間・活動内容・就労先名が記載された「資格外活動許可書」が交付されます。許可された活動に限り、収益活動をすることができます。
上記のように、外国籍社員が「資格外活動許可」を受けずに、在留資格に該当しない事業活動や報酬を受ける活動を行うと、不法就労を助長したとして、企業側が罰則の対象となる可能性があります。そこで善意の雇用主が誤って就労資格のない者を雇用することのないよう、また就労資格を有する外国人の雇用などは円滑になされるよう、法務大臣がその外国人の就労等が可能であることを証明する「就労資格証明書交付申請」という制度があります。外国籍社員および企業が更新申請までに法務大臣のお墨付きをいただくことで、安心して勤務していただけることが、この制度の大きなメリットとして考えられます。
最後に在留資格取消制度について少しお話します。法務大臣は、「在留資格をもって在留する者が、その在留資格にかかる活動を正当な理由がないにも関わらず、継続して3ヵ月以上行っていない」事実が判明したときは、外国人が有する在留資格を取消すことができるとされています。上記でも説明しました通り、その在留資格に定められた活動しかすることができず、理由なく定められた活動を行わないことも在留資格に該当しないとみなされます。
外国籍社員を雇用するにあたり、在留資格(就労資格)の確認を行われるのはもちろんですが、雇用後の外国籍社員の在留管理としての重要性も問われている時代となってきています。上記各種手続きにつき、改めて雇用企業様としてご確認いただければ幸いです。
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