外国人新入社員の転居と在留資格変更の時期

今年度も弊社では多くの外国人新入社員の在留資格手続きを取り扱わせていただきました。その中でも、今回は国内で採用され現在の在留資格から就労可能な在留資格に変更される方についてご紹介します。

在留資格の変更をされる外国人新入社員の中には、心機一転して転居される方が数多くいらっしゃいます。特に入国管理局での在留資格変更申請中に転居手続きをされる方も少なくありません。
在留カードをお持ちの方が転居された場合、転居から14日以内に管轄の役場で転入手続きを進める必要があります。こちらが完了すると在留カードの裏面に新しい住所が記入されるという仕組みです。
審査結果の交付直前に転居された方が手続きを進めていないこともありますが、そのままでは新しい在留カードに古い住所が記載されたまま交付されてしまいます。転居後は直ぐに転入手続きをされるようお勧めすべきでしょう。

在留資格変更申請中の転居に関する事例として、この春実際にあったケースをひとつ紹介します。

A社に内定していた申請人は東京在住の留学生で、入社後は配属先である北海道への転居を決めていました。しかし、入国管理局での審査に要する期間を考慮すると北海道への転居後の変更申請では入社日までに手続きを終えるのはとても難しいと判断しました。申請人が入社日に間に合うためには、東京で変更申請をせざるを得ない状況にあったのです。

ここで問題となるのは、入国管理局の制度上、原則として申請を行った入国管理局からでなければ審査結果を受領できない点にあります。
そこで申請人の在留カードを北海道の入国管理局で受領する方法はないか調査したところ、例外措置が認められるためには下記の手順を踏む必要があることが分かりました。

 1:申請地の入国管理局に他の地で結果の受領をしたい旨の事情説明をする
 2:申請地の入国管理局から受け取り予定地の入国管理局に事情説明の通知がされる
 3:受け取り予定地の入国管理局が、結果の交付代行を受諾する

ただし上記の手段はあくまで例外措置であり、認められるとは限らない上に手続きに時間要する可能性もあるとのことを入国管理局からも念を押されました。最終的に申請人は東京で申請し東京で在留カードを受領することとなりましたが、不安定な例外措置に頼ることなく原則に従い無事に手続きを終えることができました。

直前期に慌てること無くスムーズに手続きを進めることが、採用する側にとっても採用される側にとっても一番です。内定者の転居の時期や在留資格変更手続きに要する期間を踏まえ、時間に余裕を持った計画を立てることが大切でしょう。
具体的には、4月に入社をご検討の場合、前年の12月頃から手続きを進め2月の前半までには申請を終えている程度の余裕が必要だと考えられます。特に年度の変わり目である3月~4月の入国管理局は非常に混雑しているため、通常よりも審査が長引くことが予想される点にも注意が必要です。新年度が始まったばかりですが、来年度の外国人新卒採用をお考えの方は秋口までに採用計画をご検討されることをお勧めします。

一部改正された入管法も2015年4月1日より施行され、今後は外国人労働者の数も益々増加していくことが考えられます。考慮しなければならない点の多い外国人採用ですが、採用をお考えの皆様にとって少しでも有益な情報をご提供していきたいと考えております。

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ACROSEEDグループプロフィール
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