みなさん、こんにちは。
ヘッドESコンサルタントの金野です。
ある研修の場で、参加者にこのような問いを投げかけました。
「15年後、皆さんはどのように働いていますか?」
この問いかけには、いくつかの意味が込められています。
“どのような働きをしているか”、すなわちどんな仕事に就いているか。
どんな役割のもとで働いているか。
そして“どのような働き方をしているか”、
つまり今と変わらぬ働き方なのか、雇用形態が変わっているのか、
今とは別の場で働いているのか。
この問いかけに対し、参加者からはさまざまな答えが返って来ました。
「現場からは離れているけれど、
もっと地域と密着した自分独自の企画を動かしていたい」
「会社が海外に拠点を設けられるくらいになっているという前提だけど、
自分が海外部門の取りまとめを行いたい」
「どんな場所でも仕事ができる時代になっているだろうから、
地元に帰って地方展開を担いたい」
しかし、無言になっている人もいます。
おそらく、「その頃にはもうこの会社を辞めています」という
言葉を押し殺していたのかもしれません。
10年後、15年後という未来をいかに具体的に描くことができるのか。
そして、その未来に向けてどれだけ主体的に自分のキャリアの
道筋を描くことができるのか。
そのようなデザイン思考に基づいたキャリアの考え方が、
今、働く“個”に求められています。
経営に携わる立場の人が、未来を基点に今やるべきことを考え、
自分の組織を通して新たな価値を生み出し続けることは、当然です。
これからの時代に求められるのは、
“未来を基点に”だとか“価値を生み出す”といった発想を、
経営に携わる立場ではない、
組織に属する一人ひとりも有していく、ということです。
このような発想をもち行動で実践している人材のことを、
「社内起業家」と呼んでいます。
社内起業家の定義等については、
2010年に私が書いたコラムを読んでいただければと思います。
私はこれまで、一つの組織に属しながら
“個”としても社会との豊かなつながりをもち輝きある働き方を
している人と出会う機会が数多くありました。
属している組織はさまざまで、大企業に勤めている方もいれば、
社員十数名の小さな会社に勤めている方もいます。業種も多様でした。
それらの方たちは皆、組織としての方向性からは外れることなく、
けれども自社の仕事を通して自身の価値をも磨き上げながら、
主体的にキャリアを築いていっていました。
このような“社内起業家的な”人材に共通した特性があるのではないか?
そのように考え、これまで出会った方たちの顔を
思い浮かべながら整理をしてみると、以下の4つのポイントが見えてきました。
□“つながり”の価値を理解し、どれほどのつながりを持っているか
□イノベーション思考で物事を捉えられるか
□率先して対話する意欲と対話のための場をつくる意志があるか
□自己のバリュー(自分の存在を通して生み出す価値)を認識しているか
しかし、このような特性をもった人材が揃っただけでは、
社内起業家として組織に新たな価値を生み出すことはできません。
社内起業家たる人材を受け入れ育て上げる組織としての“器”がないと、
せっかく特性をもった人材が入社してきても
その価値を見出すことなく時間が過ぎてゆくばかりです。
組織の器がどれほどのものなのか、
という点は、以下の4点ではかることができます。
□未来に向けて人材が育つための道筋を示したキャリアコースがあるか
□未来のあるべき姿を具体的に示したビジョンがあるか
□未来に向けた日々の行動の支えとなるクレドがあるか
□創発を促し共に価値を生み出すための場・機会
(コ・クリエイション/プラットフォーム)があるか
これらの4つが揃っていれば、社内起業家たる人材の力を引き出しながら、
組織として未来に向けて価値を生み出し続けることができると言えます。
今後このメールマガジンの中で数回に分けて、
これらの「社内起業家人材の育成プログラム」についてご紹介し、
組織も“個”も輝くこれからのES経営の在り方について、
お伝えしていきたいと思います。