【技術・人文知識・国際業務】・【企業内転勤】編
ここ最近、日本社会は深刻な労働力不足問題に面し、時には企業も突然の従業員の退職や人員不足により、いち早く労働力を補填するために、慌てて外国人を採用し、在留資格を申請したところ、不許可になったといったようなケースが多々あるようです。
今回は在留資格【技術・人文知識・国際業務】・【企業内転勤】の申請が不許可になると考えられるケースをいくつか列挙します。
【技術・人文知識・国際業務】申請の場合
α. 本国にて学士以上の学位を取得後に来日し、日本語学校に通い、修了前にA社から内定をもらい、在留資格を変更申請した結果、日本語学校の出席率は低かったことを理由に不許可となったケース。
・アドバイス: 申請前に日本語学校を修了したかどうかを問わず、出席率は80%以上、できれば90%以上であることを確認できてから申請手続きへ進む。
β. 日本の専門学校を卒業して専門士の称号(ビジネス英語)を取得し、B社に母国語(中国語)の通訳として内定をもらい、在留資格を変更申請した結果、専門学校での専攻は従事しようとする職務の内容と関連性がないことを理由に不許可となったケース。
・アドバイス: 学歴は専門士で在留資格を申請する際、専攻と担当する職務内容の関連性が非常に重要なため、在留資格の事情に詳しい行政書士などの専門家に許可される可能性について相談する。
γ. C社が文系の専攻で日本の大学を卒業した留学生を日本人の卒業生と同様の扱いで社内研修を経て情報開発の職務内容で在留資格を変更申請した結果、申請人が大学で学んだ知識が従事しようとする職務の内容と関連性がないことを理由に不許可となったケース。
・アドバイス: 大学の専攻をあまり気にせず、社内研修の結果、会社の判断で適材適所に各部署に配属するという日本では当然のようなことであっても、在日外国人には在留資格の要件があるため、外国人新卒を専攻と関連性のない部署に配属するときに慎重に行うことをおすすめする。
δ. 高校を卒業し、5年間海外で営業の仕事をしてきた外国人がD社に営業職として内定をもらい、在留資格を申請した結果、従事しようとする職務に対し、高度な専門知識を有しないことを理由に不許可となったケース。
・アドバイス: 営業職として在留資格を許可される要件には、10年以上の実務経験が必要なので、採用を慎重に行うまたは在留資格の事情に詳しい行政書士などの専門家に相談する。
ε. E社に就職して5年間の在留資格を取得したが、1年後に退職してF社に入社し、E社に在籍したときと同じ職務をしてきた。その4年後、在留資格を更新申請した結果、申請人はF社においての必要性がないことを理由に不許可となったケース。
・アドバイス: 同じ職務を従事しても、各会社においての具体的な業務内容や必要性などで総合的審査されるので、在留資格は必ず更新できる保証がないため、転職の際、義務ではないが、万全を期すために、「就労資格証明書」を申請する。
【企業内転勤】申請の場合
ζ. 日本におけるG社の海外にある100%出資の子会社g社から10年ほど在籍の外国人をG社の工場に転勤させ、ライン作業の職務で申請した結果、来日後に従事しようとする職務の内容は単純労働であることを理由に不許可となったケース。
・アドバイス: 「企業内転勤」の要件の一つは“従事しようとする職務は技術もしくは人文知識もしくは国際業務”であるので、単に親子関係があれば、「企業内転勤」の申請は許可されるわけではないので、職務内容の該当性を事前にきちんと確認する。
η. 日本におけるH社の海外にある10%出資の関連会社h社から10年ほど在籍の外国人エンジニアをH社に出向で申請した結果、H社とh社の資本金関係を認めないことを理由に不許可となったケース。
・アドバイス: 入管法上の資本金関係については、出資金は20%未満の場合、関連会社と認められないので、日本企業が直接申請人を雇用して【技術・人文知識・国際業務】を申請する。
今後は【高度専門職1号】・【経営・管理】・【技能実習】の申請が不許可になる可能性のあるケースを紹介したいと思います。
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