入国管理局への各種届出の重要性について

50363839 - officer of the state border guard service. passport control.
当方のクライアントで外国人社員が多く在籍する上場企業があります。定期的に在留期間更新許可申請の依頼を受け、月に十人単位で申請サポートをおこなっております。上場企業=カテゴリー1のため、審査上問題がなければ、9割方の社員は3年又は5年といった複数年で許可されていますが、稀に1年で許可されるケースがあります。当然、労働条件はそれぞれ異なりますが、報酬が特段低いわけではなく、日本での滞在日数が極端に少ないわけでもありませんが、1年で許可される方と複数年で許可される方との違いを明確に把握することができませんでした。

不許可の場合は、入国管理局に行き、不許可の理由を確認することは可能ですが、1年で許可された場合、不利益な処分とは言えず、理由を確認することはあまりありませんでした。そんな中、先日、クライアントからの要望もあり、入国管理局にて何故1年で許可されたのか確認を取る機会がありました。(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)

結論から申し上げますと、「契約機関の届出」をおこなっていないためとの回答を得ました。本人は在留期間内に転職し、現職で就労資格証明書交付後、更新申請したのですが、届出はおこなっておりませんでした。“契約機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は契約機関との契約の終了若しくは新たな契約の締結があった場合” 本人が上記の事由が生じた日から14日以内に届出をおこなう必要があり、届出は本人の義務になります。クライアントは転職時に就労資格証明書交付申請はサポートしていましたが、届出に関しては本人の義務として把握し、管理はしていませんでした。この度の事を受けて、転職時に「契約機関の届出」をおこなったかどうか会社として確認及び管理するようにしております。

「契約機関の届出」は会社として必ずおこなわなければいけない手続きではないため、届出の有無を本人にまかせている会社は多くあると思われます。仮に更新申請時に実は届出を怠っていたことが判明した場合、本来は14日以内に届出をおこなう必要がありますが、届出期間が過ぎていたとしても更新申請の前又は同時に届出をおこなうことをお勧めいたします。届出をおこなっていないため、すぐに不許可になったケースは当方では今のところありませんが、届出をしていない=不許可も十分に考えられますので、外国人社員を抱えている会社として、在留期限の管理だけではなく、届出状況の管理も徹底する必要があると思います。

また、「契約機関の届出」には転職時以外にも届出が必要な事由がいくつかあります。会社が本店移転した場合、合併などで社名を変更した場合など、届出は義務になりますので、現在外国人社員が多く在籍されている会社、今後、積極的に外国人社員を受入れる方針がある会社などは、在留管理の一環として、基本的な届出の必要性を社内で把握し、先ほども申しあげたとおり、届出は本人の義務ではなく、会社側の義務として管理徹底していく必要があると考えております。

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