在留資格「家族滞在」の申請、企業としての受け入れについて

数年前では、在留資格「家族滞在」の申請は、あくまでも外国人社員の個人的な事情であり、プライベートな内容のため、本体者が就労している企業がサポートするというよりは、個々の意向に任せていた企業が多かったように思われます。しかし、ここ最近の傾向としては、優秀な人材を確保し、日本で長期的、継続的に就労していただくため、企業が積極的に協力する傾向がございます。例えば、物件の手配等の生活環境の提供はもちろん、家族の在留資格の管理、更新申請のサポート等を行う企業が増加しております。とりわけ在留資格の管理は重要で、日本で出生した子供の在留資格取得について、個人からではなく、企業の人事担当者から出生届の提出、本国への報告、在留資格の取得、依頼をいただく機会が増えていることからも企業の取り組みの変化が顕著にあらわれていると思われます。

在留資格「家族滞在」とは、就労等、一定の在留資格を有して在留する外国籍の方の扶養を受ける配偶者又は子が、日本に在留することを希望する場合に該当する在留資格であり、一定の在留資格を有して日本に在留している外国籍の方の扶養家族を受け入れるために設けられた在留資格であります。在留資格「家族滞在」が許可されるのは、配偶者又は子に限ります。20歳以上の学生であっても、親の扶養を受けているのであれば、「家族滞在」の可能性はあります。ただ、親や兄弟につきましては一定の在留資格を有して日本に在留している外国籍の方の扶養を受けていても、この在留資格に該当はしませんのでご注意が必要です。在留資格「家族滞在」で行える活動は、配偶者又は子としての日常的な活動に限られます。よって、基本的には就労活動を行うことはできません。例外的にアルバイト等、一時的に就労することを希望される場合には、「資格外活動許可」を受ける必要があります。

配偶者、子の申請といっても、書類を提出すれば、必ず許可されるものではありません。審査期間は概ね1ヶ月、申請の内容によっては、2ヶ月から3ヶ月時間を要すことが実務上はめずらしくありません。これは、海外の出生や婚姻の証明制度の違いや、あくまでも就労の在留資格に付随することによるものと思われます。また、婚姻期間が短い場合や、国によっては、親同士が婚姻を決め、はじめて会い、婚姻する場合等は、婚姻に至った経緯の詳細の説明を求められる事もあります。更に、入国管理局は、本体者の扶養能力を重要視しておりますので、 本体者が納税等、義務を果たしていない場合は、不許可になる場合も往々にありえます。そのため、家族の申請だからといって安心せず、慎重かつ正確な準備、申請が必要不可欠であります。

現在、優秀な人材の確保は、世界各国で争奪戦になっています。 特にベトナム、タイといったアジア地域の優秀な人材の受け入れを進めている企業が増加しております。そのような状況で、外国人社員に対し、どの様に対応すれば、日本での生活を選択し、日本で仕事をしたいと思っていただけるかについて真剣に取り組み、本体者の仕事環境だけではなく、家族が安心して日常の生活を送ることができる生活環境の提供こそが、優秀な人材が日本を選択する重要なポイントであり、今後の企業側の課題であると考えております。

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ACROSEEDグループプロフィール
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