現在、グローバル化が進み、優秀な外国人がより良い労働条件を求めて転職をするケースが増加しております。そこで、良く利用される制度が就労資格証明書交付申請になります。就労資格証明書交付申請は雇用企業側、そして外国人にとってどのようなメリットがあるのか、当方に寄せられるクライアントからの問い合わせ、相談をもとにご説明させていただきます。
まず、就労資格証明書は、就労することが認められる外国人から申請が行われた場合に、その者が行うことができる「収入を伴う事業を運営する活動」または「報酬を受ける活動」を証明するために法務大臣が交付する書面になります。
どのような時に就労資格証明書交付申請をおこなうのか、わかりやい例としては、A社で在留資格「人文知識・国際業務」で働いていた外国人が、B社に転職をしたケースになります。B社の業務内容が、A社の業務内容とほぼ同様で、A社で勤務する際に審査されたのと同様に「人文知識・国際業務」の許可基準を満たしているのであれば、多くの企業は、雇用し、勤務をしてもらって問題ないと考えております。もちろん勤務は可能ですが、あくまでもA社での勤務に対して入国管理局は許可をだしておりますので、必ずしも就労可能な在留資格をもっているからといって、安易にB社での勤務が問題ないと判断することはできません。
当方にいただいた相談の中で、上場企業に勤務し、「人文知識国際業務」の許可を得ている従業員が更新申請をした際、申請書の職務内容をマーケティングと記載し、申請したところ、入国管理局から具体的な職務内容の説明を求められたケースがあります。雇用企業側としては、「人文知識国際業務」の許可を得ているので、何も疑わず、マーケティングと記載し、申請したと思われます。ただ、前回更新時は、別の会社に勤務しており、本人の学歴、職歴からみても、国際業務(翻訳通訳)で許可を得ており、大学の学部を確認しても、マーケティングに関連することを学んできたとは認められない状況でした。そのため上場企業だとしても、職務内容をマーケティングとしてしまうと、入国管理局としては、手放しでそのまま許可をだすことはできないのが現状であります。
要するに、就労可能な在留資格をもった外国人を、中途採用した場合、入国管理局から許可を得た具体的な職務内容を確認する必要があるということです。ただ、履歴書や在留カードをみただけでは就労できる職域等が明らかではなく、本当に雇用して問題ないのか把握するのは困難なはずです。そこで、良く利用されるのが就労資格証明書交付申請になります。就労資格証明書が交付されるということは、入国管理局から、雇用しても問題ない、働いても問題ないと、お墨付きを得たことになります。なお、就労資格証明書交付申請は義務ではありません。在留期間更新時に、A社からB社に移り、具体的な業務内容を説明することで申請は可能ですが、転職をしていない更新や就労資格証明書交付済みの申請とは異なり、審査に時間もかかり、前職の退職証明等、立証資料も要求されることが往々にあります。審査の結果、許可が得られたらよいのですが、たとえB社での業務内容が許可の基準を満たしていたとしても、立証に失敗してしまうと、更新は不許可になってしまうことにもなりかねません。このようなリスクを避けるためにも就労資格証明書交申請をおこない、雇用企業側が誤って就労できない外国人を雇用することを防ぎ、転職しようとする外国人が、適法で、就労可能な在留資格を取得していることを証明することで、雇用企業側及び外国人双方の利便を図っていくことが重要であると思われます。
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