前回のコラムにて、研修として外国籍の方を受け入れるときに利用される在留資格の違いについてお話しいたしましたが、今回は在留資格「技能実習」について、もう少し詳しく説明させていただきます。弊社でも毎年数社様のお手伝いしておりますが、申請内容としては毎年の定期的な実習実施のためや、技術の開発に応じて現地法人の社員の本邦での実習が必要となった場合など、様々な目的に応じてご依頼をいただいております。
まずは、「技能実習」で認められる活動内容ですが、日本で開発され培われた技能・技術・知識の開発途上国等への移転などを目的とし、労働者として在留する外国人技能実習生に与えられる在留資格であり、実務研修いわゆる工場内等の現場での研修が可能となります。
技能実習生の受け入れについては、最長3年の期間となり、受け入れる方式は、企業単独型と団体管理型に大別されます。企業単独型の場合は日本の企業が、海外の子会社、現地法人、または取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施することが可能です。なお、受け入れ枠が実習実施機関の常勤職員総数に対して20分の1とされておりますので、例えば500人の従業員を有する会社では20人近くの実習生を受け入れているようです。
技能実習の申請では、非常に多くの立証資料が求められる傾向があります。制度として確立されたものとなりますので、書面にて証明していただく必要があり、例えば送り出し機関からの送り出し機関概要書や派遣状、実習実施機関からは雇用契約書や雇用条件書、講習計画書、技能実習期間計画書、技能実習指導員履歴書など、全ての要件を満たすことを証明する書類を揃えた上で申請する必要があります。また、雇用計画書や雇用条件書は原本の提示を求められておりますので、実習生の署名した書類を本国からお送りいただき、実習実施機関で押印いただくというプロセスを踏んでいただく必要があります。
入国管理局より在留資格認定証明書が交付されご入国後、実習期間が始まりますが、1年後、技能修得の成果が一定水準以上に達しているなど、要件を満たしていれば「技能実習1号イ」から「技能実習2号イ」への変更許可の申請をすることができます。変更許可を受けることにより、最長3年間の技能実習を行うことができ、入国後1年目の技能などを修得する活動と、2・3年目の修得した技能などに習熟するための活動とに分けて実習を行うことができます。変更ができるか職種および作業についてはあらかじめ定められており、現在69職種127作業の範囲とされています。例えば建設関係、食品製造関係、機械・金属関係などの作業の中で定められているものに該当していなければなりません。
実習期間終了後は修得した技能を本国にて発揮していただくことがこの制度の趣旨となりますので、最長3年の実習期間終了後、他の目的のため本邦に残留できるものではありません。実習生のパフォーマンスがよく、本人も希望しているので今後も働いてもらいたいとのお問い合わせをいただくことがありますが、ご帰国いただくのが原則です。もちろん、ご帰国後は修得した技能を本国でのお仕事にて活かしていただくこととなります。
最後に、“海外から人を呼んで研修を受けさせたい”とのお問い合わせを多くいただきますが、「研修」や「技能実習」の申請ができるのか、または「企業内転勤」や「技術・人文知識・国際業務」としての就労ビザで招へいするべきなのか、研修内容、また参加される申請人の経験や研修後の立場などによって調整していただく必要も増えているように思われます。一つの選択肢として参考にしていただければと思います。
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