昨年10 月にラスベガスで開かれたHR Technology ConferenceでAIソリューションを披露したベンダーの中から、今回は、さらに二社、Ultimatee SoftwareとEnteloを紹介する。
Ultimate Software: Xander AI プラットフォーム
顧客企業の社員3300 万人のデータをクラウドで管理するHCMベンダー、UltimateSoftwareでは、昨年10月にAIプラットフォーム、Xanderを展開した。Xanderは、複数のAI製品から成るプラットフォームで、社員の満足度、成績、定着率を向上させるために社員の感情を分析する。
特徴
社員のコメントだけでなく、実際に社員がどう感じているかを管理職がリアルタイムで読み取り、プロアクティブな意思決定を可能にする。
・感情分析:社員のコメント、発言の裏にある感情を見極め、「ポジティブ」「ネガティブ」「無関心」「熱心」「混乱」「怒り」「イライラ」「心配」といったカテゴリーに分類する。
・機械学習:社員のコミュニケートの仕方で、社員がどう感じているかを学び、人間が分析するよりも、より精確な結果をする。
・自然言語処理(NLP):アンケートの自由回答やレビュー、ソーシャルメディアへの投稿での自然言語からデータを抽出して処理する。
・行動アクション :社員の回答から得たデータを基に、行動を予測してアクションを提案する。
たとえば、優秀な社員がストレスを感じていると判明すれば、管理職が、その社員をどうサポートできていないかを見極め、エンゲージメントを高めるためのアクションを提案する。
・個人名削除: 目的は企業の弱点を見極めることで、個々の社員の批判ではないので、個人名は削除されるように設定されている。
在職期間などの構造化データ(structured data)でも、アンケートの自由回答でも、HCMのデータはすべて解読可能である。
Xanderの機械学習機能は、同社のHCMソリューション、UltiProにエンベデッドされており、継続的に更新・学習が行われる。NLP機能によって、瞬時に100以上の感情、70の職場テーマ、全体的な感情を判読できる。
読み取った社員の感情は、UltiProの予想・処方機能に送られると同時に、社員のフィードバックを基に、NPS(Net Promoter Score)1のように、(顧客経験価値ならぬ)社員全体の経験価値を測るEPS(Emotional Promoter Score)も算出する。
UltiPro Perception™
上記のUltiProの予想・処方機能というのが、UltiPro Perception™ で、下記の特徴がある。
・モバイルでアンケート配布可能。
・会話形式の質問で、回答選択式では得られないような洞察が可能。
・数秒で、人間より精確にデータを分析。
・リアルタイムでアクションにつながる洞察を提供。
・組織の長所と短所を見極め、改善点を指摘。
「多様性」「人材流出防止(retention)」というテーマ、「心配」という感情を読み取る。
※1.ネットプロモータースコア:顧客のロイヤルティを測る指標のひとつ。
自分のチームと会社全体との比較
Entelo Envoy:候補者発掘からアウトリーチまでを自動化
Entelo は、2016年にレポートしたGild と同様の人事採用プラットフォームを展開している。ソーシャルメディアなどのプロフィールから集めたデータを基に独自のアルゴリズムを用い、転職しそうな人材や隠れた逸材を見つけ出す。その人材が転職話に興味を示すであろう確率や連絡をとるべきタイミングも算出する。
さらに、応募者から企業に送られてくる履歴書に対し、各企業が設ける要件に基づきランク付けして、採用担当者がより有力な応募者の履歴書に先に目を通せるようになっている。
Entelo Envoy
Enteloでは、バックグラウンドで候補者を検索し、自動的にメッセージを送るAI搭載のEnvoyを、昨年10月に既存顧客企業向けにベータ展開、今年に入り一般企業向けに展開を開始した。
Envoyは、ポジションが空くと、その職務記述書(job description)を自動的にスキャンする。ソフトがバックグランドで、自動的に候補者を検索し、候補者が見つかれば、パーソナライズしたメッセージを、最適のタイミングで候補者に送信する。興味のある候補者から返信があれば、採用担当者の受信箱に送信される。フォローアップのメールも自答的に送信される。
Envoyの追加により、候補者開拓やスクリーンだけでなく、アウトリーチまでが自動的に瞬時に行えるようになった。
成果
既存顧客の75社以上によるベータ版利用では、
・Envoyが発掘した候補者が候補者全体の数割を占め、最高、半数を占めたケースも。
・Envoy発掘の候補者の8割近くが採用担当者に認められ、採用の次の段階へと進んだ。
・採用担当者がソーシングに要する時間が週に13時間から30分へと、96%減少。
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